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実は、摂氏20度くらいの常温で電気抵抗0の現象は、わたしたちの身近にある、常に。とてもミクロな場所の現象で、それを人のサイズに拡大して使いたい・・・それが常温超伝導を研究する者の夢となる。
どれくらいミクロかと言えば、分子の中だ。原子と原子が電子を共有して分子を作る。水素原子と水素原子がくっついて水素分子になり・・・水素原子2個と酸素原子1個がくっついて水分子になる。あの分子の中だ。
分子の中に電気抵抗は無いので、分子は安定していられる。分子の中で電気抵抗が発生したら、たちまち分子は原子と原子に分解してしまう。
一般的に、電気抵抗は分子から分子へ電子が移動する時に発生する。
分子から分子へ電子の受け渡しの回数が減れば、電気抵抗は小さくなる理屈だ。
端子から端子まで数メートル、たった1個の分子で電線を作れたら、電気抵抗が発生するのは端子のところだけ。夢のケーブルが完成する。
分子量が数万なんて巨大高分子は、今のところ有機質でのみ確認されている。残念にも、電気は通さない非導体だ。必要とされているのは、分子量が数億どころか数兆以上の物。
技術的可能性としては・・・ありえる。が、できたとしても、流せる電圧は低くなりそう。低い電圧でのみ電気抵抗0が実現しても、実用性が無くなってしまう。最低でも、100ボルトに1アンペアくらいの電圧と電流量が欲しい。
なので、次善の策として、金属素材の結晶の形や大きさを工夫して、高電圧でも電気抵抗を小さく制御しているのが現実。
世界の科学者や技術者が苦心して求めているのは、高電圧や強磁界の中でも電気抵抗0を保持できる素材だ。
近年、夢のケーブルに使えるかもしれない素材が現れた。それはナノカーボンチューブ!
炭素の鎖構造がチューブ状になったやつ。今のところ、直径も長さもナノメートルの大きさだけど。
電子走査装置を使い、分子プリントとも言うべき技術で、しだいに長いチューブが作れるようになってきた。長さ3万6千キロのチューブが作れたら、静止衛星軌道まで上がる宇宙エレベーターができると期待されている。
炭素製のチューブなので、それ自体は電気を通さない。チューブの中を電子の通り道にしようと言う。チューブの中に電気抵抗は無いので、実質的に超伝導なケーブルになる。
いろんな意味で夢の素材と言われるナノカーボンチューブだが、発がん性を指摘する研究もある。
もしかしたら、第2のアスベストとして、NG素材と化する場合も・・・
< 未完 >
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