第二章 模倣

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*  みんな、人間を殺す前のナオちゃんって何をしてたか知ってる? 犬を殺してたんだって。やっぱり、いきなり人間を殺すのはハードルが高いよね。準備体操みたいなものだったのかな。  だからさあ、わたしも犬を殺してみたんだ。ナオちゃんが使った硫酸タリウム入りのエサを食べさせて。おいで、おいで、チャッピーってさ。  泡を吹いてのたうち回ってぽっくりだよ。命ってあっさりしてるんだね。なんかもっとすごいことが起こると思っていたのに。ああー、死んじゃったって感じなんだね。  わたしが殺したのクラスの奴の犬なんだ。ただの野良犬を殺しても、面白くないからね。そいつ、ピーピー泣いてたよ。個人的な恨みとかないけど、ざまあみろって感じがした。どうせ、愛されて育ってきたような面してるから。  あとは疑われなければ、大丈夫。わたしはナオちゃんと同じくらい優秀な生徒だから。  犬を殺しただけじゃ、まだナオちゃんに程遠いよね。次は人間を殺してみよう。それで、やっとスタート地点に立てる。
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