第二章 模倣

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*  どれだけの人がクラスメイトの葬式に立ち会うことになるんだろうね。みんなが悲しそうにしていたから、わたしも頑張って悲しそうにしてたんだ。うまく演技できたかな。  ナオちゃんもそういう演技が上手だったんだろうね。だって泣きたいときに泣くことができるんだから。わたしもそんなふうにはなれないな。  家に帰ってやっと大きな声で笑ったんだ。犬と同じくあっさり人も死ぬんだね。死に様が見れなくて残念だ。それだけが心残りかな。  わたしにしては頑張ったなあ。誰もいない教室に忍び込んでペットボトルのフタを開けて、スポイトからタリウムを一滴だけ垂らしてみたんだよ。  そしたら、次の日、そいつが苦しみ始めた。可愛いおかげで得してるんだから、それくらいの報いは当然だよね。  数日かけてゆっくりとタリウムの量を増やしたんだ。そしたら、四日くらいでぽっくりだよ。ああ、あっけない。  次は何をしようかな。バラバラ殺人かな。でもなあ、わたしにそんなことできるかな。道具を揃えるの大変そう。余ったタリウムを有効活用した方がいい気がするな。  前に手作りのお菓子とか配っているヤツいたよな。みんなに毒入りのクッキーを配る。めっちゃいいじゃん。みんながバタバタ死んでいくのをヘラヘラ見てる。なんだか面白そう。
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