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医者だかAIだかが話かけてくる。医師だった。
ああ、気持ち悪い、と蓮。
「そのアイウェアの左側はデータを投影できる。漫画やアニメでいうところの『スカウター』みたいと言えば通じるだろう。起動はそう、そのスカウターを起動する、と『思考』すればいい」
蓮はスカウターも知らなかったがデータ投影を起動させるのは簡単にできた。医者の名前などのデータがアイウェアに投影される。
すると、左眼には蓮の改造された身体のデータを集めて、「麻酔後の気分の悪さがありますか?」と表示される。「Y/N」のYに視点を合わせると麻酔後の気分の悪さは次第に鎮まっていった。
これで俺も機械改造者なんだな、と思うと蓮は微笑んだ。同時に、有機生体派たちの派閥を警戒しないといけない。
世界はカトリックと、資本主義と社会主義をミックスしたような経済体制をしく勢力、通称CSに二分されている。言葉遊び的にCSは「種」を連想させ、さらに種からの発想により、現在では撒種主義と呼ばれている。
日本でも、その派閥争いは存在し、互いが互いを敵視している。
そして蓮とめぐみは協議離婚した。蓮にはもう執着などなく、宇宙ステーションへ行くことどころか、数年前に訪れた、ケープ・カナベラルの廃棄されたロケット発射複合体群へまた行けることだけが夢だった。
例外は杉田美都の存在だけ──。
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