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プロローグ
「——ふふ、陽太郎さん実は私がアルファだって言ったら驚きますか?」
初夜の日に、俺の妻となった美しいオメガが告げた言葉。
始めて会った日から、密かに憧れていた人。
たおやかで儚げで、これ以上ないというほどに理想的なオメガ。
でも今俺を見下ろすこの目つき、そしてこの威圧的な強いフェロモンは、疑いようもなくアルファそのもので、俺は呆然と彼を見つめていた。
「私には、アルファの男をオメガにする能力があるんです。陽太郎さん、あなたはオメガになって私の代わりに子供を産むんです」
その妖艶な笑みに、俺の体は恐怖で震えていた。
アルファの俺がオメガに?
なんでこんなことになったんだ?
俺のせい? 俺が弱いアルファで、ヒカルに捨てられたから?
組み敷かれた体の下で、俺はただ混乱し恐怖しながら、なんでこんなことになったのかを考えていた。
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