斗貴哉様との結婚

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 この寝室からは、しっかりと手入れがされた中庭が見え、またそれが風流ですげーいいカンジ。    それに寝室のベッドとかめちゃくちゃデカいけど、たぶん海外の高級家具メーカーのやつで、マットレスもかなり寝心地いい。  その上、いい匂いのお香まで焚かれて、ムードも満点。    こんなにも俺と斗貴哉様との初夜にふさわしい部屋はないだろう。    そして、俺は今日ここで、初エッチに挑む。  ずっと夢見ていた斗貴哉様との初夜を、今日! これから! 迎えることになるのだ!    ヒカルなんかのために無駄に守っていた童貞を、今日ここでやっと捨てられるってわけだ。    心配なのは緊張しすぎて失敗しないかってこと。  どうせならどこかで練習でもしておきたかったけど、やっぱり不義理なことはしたくねえよな。ってことで、風俗にも行かず今日まで大人しく待ってたんだよな。    緊張して萎えないように、兄貴がくれた精力剤も飲んできた。  体もしっかり磨いたし、それでも落ち着かないからちょっとだけ香水もつけた。  あとは、斗貴哉様の支度が終わったらお迎えするだけ。    にしても、ものすごくソワソワして落ち着かない。  こういう時ってどうするべきなのか。    俺はベッドの周辺を行ったり来たりと、1人ウロウロしながら斗貴哉様を待った。       「陽太郎様、斗貴哉様のお支度が整いました」    声がかかる前に、まず前室のドアをノックする音で、ビクッと体が跳ねた。  たぶん5cmは飛び上がったかも。  その後にかかった使用人からの声に、俺はどこにいればいいのかわからず、とりあえずあたふたしながらベッドの脇に立ってみるが、落ち着かない。    ここで待ってればいいんだよな。こういう時の作法とかってあるんだろーかと、すごい悩む。   (あーもう、心臓がバクバクしすぎて痛いんだけど!)    カチャッと扉が開く音がし、前室の扉が開く音がした。  ヒタヒタと歩く音が近づき、「陽太郎さん?」というきれいな声のあと、一瞬間があいて、寝室の引き戸がスッと開いた。    俺はお迎えも何も、ベッドの横で棒立ち。    そこに現れた斗貴哉様は、豪奢で品のある花の刺繍が入ったシルクのガウン姿で、長い髪は下ろし、片側に流していた。    もう俺の心臓はバクバクと通り越して、止まってしまうんじゃないかってくらいの早鐘だったんだけど、それを斗貴哉様に知られないよう何でもないような顔をするので精一杯だ。   「陽太郎さん、遅くなってしまって申し訳ありません」 「ん、う、あ、いえ、はい、大丈夫です……はは」    そんな俺の姿に、斗貴哉様はふふふと花のように笑った。   「緊張してらっしゃるんですね。私もそうですよ。こんなに若くて素敵な方と添えることができるなんて」    斗貴哉様がこちらへ近づいてくる。あの麗しい顔が俺の前に……と思っていたらなんだかちょっと思ってたのと違うぞってなって、俺の頭に疑問符が浮かぶ。   (あれ、斗貴哉様こんなに背が高かったけ。もしかして俺のほうが小さい?)    俺はあんぐりと斗貴哉様の顔を見上げた。  これまでお互いの身長のことなんか意識したことなかったんだけど、もしかして斗貴哉様は実は俺より身長高い? 考えてみれば斗貴哉様は、いつでもどこでも座っていた気がする。
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