クロノスタシスが解けるまで

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飛び散った返り血を浴びた制服姿。裏路地で蹲っているところに、優しく声をかけてくれたのが彼だった。 17歳の誕生日。 あたしはともくんに拾われた。 口を塞がれ手足も縛られ、車のトランクに無理矢理押し込まれ、暗闇の中で長い時間揺れた。いつの間にか意識を失って、次に目が覚めた時にここにいた。 大きな声を出す度に髪を強く引かれ、抵抗すれば浴槽の冷たい水に何度も押し付けられた。 頬、腹部、背中、何度も何度も殴られて、感覚が少しずつ確実に麻痺していく。 開くことのない重たい扉。 外界の世界から閉ざされて、拘束具に繋がれるあたし。 1年前のあの日から、内側からは決して開くことの無い部屋に住んでいる。
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