クロノスタシスが解けるまで

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真っ白な世界。 この部屋の中の物は全てが白い。壁も天井も、カーテンもベッドも全部。 薄いピンク色に染まるのは、シーツの古い血の跡。 「はぁ、やっ……、」 「気持ちいい?」 掠れた低い声のトーンが、あたしの耳に囁かれた。耳朶をパクリと甘く噛まれて、そのまま首筋に舌が這われる。 潤いを増していく息が部屋に響き渡って、わし掴みにされる胸の膨らみにほんのり赤い花びらが落ちていった。 「き、きもち…んっ」 「ネネはこれが好きなんだよね」 「やめ、や……ぁ」 後ろから両手で腰をギュッて掴まれて、そのまま勢いよく押し当てられる。 体の中への圧迫が激しくて、ドクンと大きく脈打つそれに容赦なく何度もつかれる。 「と、ともくんっ、もっと」 「……はっ、ネネは厭らしいね」 「んっ、んん、やぁ……ん、」 「ほら、もっと声を出してごらん」 「と、ともくん、ともくん、ともくん!!!」 背中を撫でて、肩の後ろにキスを落とされる。 頭がおかしくなる位に、あたしを愛して。彼の背中に長く伸びた爪を立てて、力をこめる。 ガシャン。 あたしの左手には拘束具。その姿形はまるで刑事ドラマに出てくるものと同じ。鎖は白いベッドの柵に繋がって、その部分だけ銅色に錆びはじめていた。 ともくんは、とっても優しい。 でも、ちょっとだけ独占欲が人より強い――。
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