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「これで寂しくないよね?」
と言葉を続けていくともくんは、いつもと変わらないもの柔らかな笑顔をみせる。
ともくんが、あたしのために、あたしの友達を連れてきてくれた。
目の前に立たされる女の子は、あたしより年齢は下だろうか。
両手首を結束バンドで固定されて、タオルで縛られた口許から「ん、んんー」と何か言いたげな息を漏らしていた。
白いブラウスのボタンは引きちぎられて、下着が半分見えている。スカートは鋭い刃物でズタズタに切られたみたいだ。
泥で汚れた身体。裸足の傷ついた爪先。ぐちゃぐちゃな髪の毛。頬は赤く腫れて、見える至るところに赤と黒の混じった擦り傷がついていた。
光を無くした濁った瞳からは涙が溢れ、体全身が大きく震えながら崩れ落ちる。まるで、1年前の逃げてきたあたしみたい。
でも、大丈夫だよ。それはともくんの優しさだから。ここは守られた場所だからね。
「ねぇ。あなたは、何をしたの?」
「……」
ゆっくりと唇を動かせば、倒れるようにしゃがみ込む女の子が無言のまま顔を上げる。
虚ろな視線の先はあたしの左手首につけられた手錠。
「あたしはね、人を殺したの」
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