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翌日、また紙が降ってきた。
あちらの指令はこの紙でしか届けられない、そしてこちらから送り返す術は無く、力の消費がバカエグいらしいのでもらえて一日に一回らしい。
あ、でも誰かに憑依したら回数制限も何も無くなることも書いてあったな・・・
それはともかく、今日のこの紙にはまた新しい仲間の条件がプリントされていた。なるほど、状態異常系の力を扱える人・・・?
どちらか片方で良いそうだが、それぞれ『現まどか』『幻マギカ』という名前らしい。まぁ、それはそれとして。
笑くんには、美味しいものが食べられる、楽しいところに行ける、と言って着いてきてもらったのだ。
叶えてあげなければダメだろう。
「笑くん、何かやりたいこととか食べたいものってない?あと、欲しいものとか。」
「えっと・・・」
「んぁー、もう!どもるのやめよっか、ある程度のことは叶えられるから、とりあえず何がしたいのか教えてくれる?」
「ともだちがほしい・・・です。」
友だちか・・・!驚いた、とまでは全然行かないけど、私では少し叶えにくいかもしれない。
・・・まぁいっか、旅してたらできるよね・・・?
「ええとね、それ私じゃ少し難しいから、仲間集めるんだけど、そのときに探そうか!」
「あのっ、そうじゃなくて、・・・葵さんになってほしいです!」
「え・・・?」
胸元の手はぎゅっと握りこまれていて、応援ポーズといっても差支えは無いだろう。
放心した私の反応を怒ったと捉えたのか、赤面はいつの間にか涙目となっている。
だめでしたか・・・?そんな心配の言葉なんて知らない、聞こえない。
「いいよ!私が笑くんの最初の友だちだね!」
しゃがみ込んで握りこぶしを作ると、おずおずと真似をしてくれた笑くん。
こつんと合わせてフィスト・バンプである、うーん可愛い。
ついでに、今日貰った紙の話も一応しておく。
当然あまり有益な情報は得られなかったけど、「現まどか」と「幻マギカ」を迎えに行くため、ドアを開けようと、した。
「私が開けますよっ、葵さん!」
「・・・んふふ、ありがとう、笑くん。」
こんなことを言っては、思ってすらいけないのだろうけど。
彼さえいれば、私は色々と救えるのかもしれない。例えば、救いようのないくらい絶望的な過去の___
・・・考えるのはやめだ、やめ!
先に出ていた笑くんの後を追って、私は今日行こうと閃いた場所へ向かうため、幣を真上に振り上げた。
「・・・葵さん?」
「えへへ・・・」
何も起こらなかったから諦めて歩いて行こう・・・。幸いお金はあるのだ、宿にでも泊まりつつゆっくり行こうではないか。
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