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 頭上には濃い色の青空が広がっており、ところどころ消しゴムで擦ったかのような雲が漂う。  僕たちは上空をじっと見つめていた。色鮮やかな夏の空に目を奪われたわけではない。待っているのだ。 「全然来ないな、成仏」 「そうね。なんか成仏って天に吸い込まれるイメージだったんだけど違うのかしら」 「三頭身の天使が迎えに来てくれるんじゃなくて?」 「それは昭和の成仏スタイルよ」 「成仏にもブームあるのか」  僕たちはふうと息をついて、成仏待ちをやめた。  おかしいな。僕が告白して彼女が返事したからてっきり天に召されるものかと思ってたんだけど。  蓮見も待つことに飽きたのか、地面をついばむスズメと戯れている。 「そもそも幽霊は速やかに成仏しなきゃいけないっていう考えがもう人臭いのよね」 「古臭いみたいに言うなよ」 「いっそ好きなだけここにいて、飽きたら成仏すればいいんじゃない?」 「味変じゃないんだぞ」  この世とあの世をなんだと思ってるんだろう。……いや、これこそ人臭い考えなのかもしれない。 「でもよく考えたら私まだ心残りいっぱいあるわ」 「え、そうなの」 「だってずっと好きだった人と付き合えたのよ? ここからが青春じゃない!」
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