第8話(BL特有シーン・回避可)

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第8話(BL特有シーン・回避可)

 華奢な鎖骨から首筋にまで熱い舌は上下し、甘噛みされてハイファは喘いだ。そのままシドの唇は上へと辿り、ついばむようなキスをされる。  キスは徐々に深くなり、追い求めるシドにハイファは柔らかな舌を差し出して与えた。絡め取られた舌は唾液と共に、痛みが走るほどに吸い上げられて陶然とする。 「愛してる、ハイファ。お前だけが俺にこんなことさせるんだぞ」  口づけた唇が頬を伝って耳朶を挟みながら、繰り返し熱く囁いた。同時にはだけたドレスシャツから覗いた右胸の尖りを、シドの指先は転がし嬲っている。 「ぅうん……はあっ、僕も、貴方だけ……あうっ!」  胸の突起に口をつけられ強めに歯を立てられて、ハイファは躰を跳ねさせた。痛みは甘く疼きとなって腰に溜まってゆく。膝が萎え、テーブルに凭れてやっと立っている状態のハイファは、座り込まないようにするだけで必死だ。  そんなハイファは半ばまでしか外されていない残りのボタンでドレスシャツを絡み付かせ、シドの目には堪らなく煽情的に映った。  布に包まれた左胸の突起に口づけて舐める。白に近いペパーミントグリーンのドレスシャツが透けて、エロティックな眺めとなった。 「んっ……んんっ、あっ……僕にも――」  既に吐息を不規則にしているハイファは、シドの綿のシャツに手を伸ばす。もどかしげにボタンを外し、コットンパンツからシャツを引き出して裾に指を忍ばせた。 「……んっ、あ……っく」  なまめかしく動くハイファの指に、引き締まった腹から胸を愛撫され、シドも思わず呻きを洩らす。互いの肌を撫でさすりながら、下半身を擦り合わせた。  充分に成長させたものを感じ取り再び深いキスを交わす。歯列を割り舌を夢中で絡ませた。 「あんっ、んっ、んんぅ……はあっ!」  思う存分互いの唾液を吸い合って離れるとシドはハイファのベルトに手を掛ける。緩めるなり、下着と一緒にスラックスを膝下まで引き下ろした。  荒い息で切れ長の目を見つめるハイファは、シドに縋るようにしてやっと身を支えている。若草色の瞳は零れんばかりに潤みを溜めて乞い願っていた。  ハイファ自身は認めないかも知れないが少々手荒にする方が感じやすく反応するのだ。情欲と羞恥が入り交じった目がシドの攻めを待っていた。  成長しきったハイファのものをシドは掴んだ。やや乱暴に扱くと先端から透明な蜜が溢れ出して糸を引く。その蜜を右手の指に絡ませたシドは、左腕で細い腰を抱き寄せながらハイファの背後から探った。  硬く閉じたハイファの蕾に中指を挿し入れる。押し込むと内襞が誘うように絡んで迎えた。ハイファ自身よりもハイファを知ったシドの指はいつも深爪をして整えられたものだ。蜜を絡めた中指と粘膜が淫らな音を立てた。 「ああん……シド、あっ……はぅんっ!」  目を瞑ることすら忘れてハイファはシドの指づかいに翻弄される。絶え間なく与えられる快感に、リフレッシャすら浴びさせて貰えなかった羞恥が蕩かされていた。  超至近距離で目に映る端正な愛し人の表情は優しく、だが情欲を浮かべ酷く色っぽい。 「んんっ……あっ、ふ……ああんっ!」  甘く鳴きながらいつしかハイファはシドの数指を咥え込んだ腰を前後させていた。  シドの熱いものを受け入れるための準備をさせられながら、堪らない快感に思考が蒸発したように今は世界の全てがシドの指づかいに支配されていた。 「ん……あっ、あんっ!」  唐突に指が抜かれ、快感が途切れて不満に腰が動いてしまうのをハイファは抑えられない。羞恥で顔に血が上るのが分かる。次の瞬間、くるりと躰を返された。  震える手でテーブルのふちを両手で掴むと、コットンパンツの前だけをくつろげたシドが、何の前置きもなしに熱く滾ったものをハイファに押し当てる。  雫が垂れそうなくらいに先端の濡れそぼったそれがハイファを引き裂くように、ひと息に突き入れられた。 「あっ……あっ、ああっ……はうっ!」 「くっ、きつい……痛かったか?」 「んっ、ん……でも、少しだけ……あっ、ああっ、深い……や、あんっ!」  指とは比べものにならない太いもので荒々しく貫かれて痛くない訳がない。  その灼熱の楔が体内の奥深くまで侵入してきたかと思うと、次には引き出されて思考が白飛びするほどの快感が湧き、ハイファは甘く高く鳴いた。  シドのものが繋がりの解けてしまう寸前で、またハイファの芯まで突き上げてくる。 「あ、あああっ……おかしく、なりそう――」 「おかしくなっちまえよ、もっともっと狂わせてやるからさ」  言葉通りに激しく抽挿入された。  気付くとシドの動きに合わせてハイファ自身も細い腰を淫らに振ってしまっている。  そんないやらしい躰からは水音がして、二人の情欲を余計に煽り立てた。とっくに苦痛なんか溶け消えて二人ともに抉り出されるような快感の海に浸り溺れていた。  まだ一度も達していないのにシドを欲しがる躰は条件反射のように、より滑りが良くなった粘膜をシドが掻き出すたびに溢れてハイファの内腿を伝う。  そんな感触さえもシドの与えてくれる快感と綯い交ぜになり、心地良すぎて膝が震え立っているのも難しくなった。察したシドが細い腰を掴んで支えてくれる。 「んんっ、シド……いい、すごい……はぁんっ! 太い、硬いよ、あうっ!」  「ハイファ……傷つけたくねぇのに、壊しちまいそうだぜ、ハイファ!」  一方のシドも、柔らかくもきつく締め付けてくる快感に溺れきっていた。  細い腰に両手をかけ、自分のスライドに合わせて引き寄せるシドは、何度も愛する名を呼んだ。細い躰を壊してしまうのではないかと思うほど激しく攻めてしまう。  薄い肩越しに振り向いた若草色の瞳は羞恥と快感で感極まり、堰を切って涙が流れ出していた。そんな風に涙を零そうと淫らに喘ごうと、ノーブルな横顔は美しさを失ってはいない。むしろ妖艶さが加わって息を呑むほどに綺麗だった。  そんなハイファを犯し尽くし、白い躰を汚してしまいたい欲望に駆られ、シドは容赦なく愛しい存在を揺らし、蕩けた場所を飽くことなく掻き混ぜこね回した。 「シド……シド、もう、だめ――」 「ハイファ、俺もだ……一緒に、いくぞ」  荒々しい手つきで探られシドに握られた。きつく扱かれてハイファは前後の攻めに貧血でも起こしたかのように気が遠くなる。  テーブルに爪を立てて強すぎる快感に堪えた。同時に体内のシドが膨れ上がったのを感じる。粘膜が破裂しそうだ。 「あっ、シド……いく、いっちゃう……ああんっ!」 「うっ……ぁあ……くっ!」  シドにずぶ濡れにされつつ、同時にハイファもシドの手の中に欲望を弾けさせた。幾度も二人は躰を震わせて放つ。  細い躰はそのままふわりと倒れかかりシドが慌ててその身を支えた。ゆっくりとその場に座らせると白い顔を覗き込む。 「シド、あのね……」 「どうした、何処か痛いのか? 何か欲しいなら言ってみろ」  酷く優しい低い声にハイファはもう羞恥を完全に蕩かした声で訴えた。 「もっかい、僕の中に来て」  愛し人はポーカーフェイスを崩して笑い、身に着けていた下衣を自ら脱ぎ捨てた。    思った通りに放出してなお下半身のものは治まりを見せず、未だに反り返り張り詰めさせている。ハイファも中途半端に脱がされていた衣服を全て脱ぐと、その場で俯せに這い扇情的な姿態を取った。 「ハイファ、そんなの見せつけられたら引っ込みがつかねぇだろうが」 「いい、もっとさっきみたいに……ううん、さっきより、いっぱい汚して」  堪らなく甘い誘いだった。更には目前のハイファは秘部まで惜しげもなく晒し、そこからはシド自身が注ぎ込んだ熱を溢れさせているのだ。  気付くとシドは一層滑りが良くなったハイファの体内を掻き回していた。反り返りで抉り、根元で捩っては内へ外へと押し込み引き出す。  やがて引き抜いてハイファの白い背に叩きつけるように放った。塗り付け汚しつつ軽い身を返して硬い床の上で怪しいような色気を感じる泣き顔を見ながら攻め抜く。  ハイファ自身も二度ならず達して零した己の熱を我が身に擦りつけていた。  オーダー通り存分に汚してからようやくシドはハイファの体内から去る。手を洗ってきたシドは水の入ったグラスをハイファの唇にあてがい傾けてやった。半分飲み干してハイファはようやく息をついた。まだハイファが自力で動けないのは明らかだ。 「大丈夫じゃねぇよな、ちょっと待ってろ」  雑に自分の身繕いをしたシドは寝室からシーツを持ってきてハイファの首から下を包むと横抱きにし、リビングの二人掛けソファに運んで寝かせた。身長こそ低くないハイファだが、細く薄い躰は軽いのでこういう時には助かる。 「暫くそこでTVでも視ながら休んでろ」 「ごめんね。晩ご飯、遅くなっちゃう。お腹空いたでしょ?」 「構わねぇさ。今、お前を食ったばっかりだしな」 「帰るなり、もう!」 「えっ、俺だけのせいか? テメェの胸に訊いてみろよな」  ソファの傍で膝をつき普段のポーカーフェイスを崩して笑うシドにハイファは殆ど無意識に乞うて現在の状態に至ったのを思い出し、赤くなったまま眠るふりをした。
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