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side未来
小学5年生の夏。
私は密かに思いを寄せている彼に近づく為、作戦を実行する。
名付けて[虫怖い!か弱い女子作戦]
「キャー!!」
教室内で悲鳴を上げる。
一気に注目を浴びる。
ただ休み時間という事もあり、クラス内は人がまばらである。
あらかじめ取ってきたカメムシを肩につける。
(かめ虫ちゃーんまだ飛んで行かないでねー)と願いながら、私は奏時君に近づいていく。
「やだ!虫怖い!!とってー!」
奏時くんは「今とるから動かないで」と言ってカメムシを取って窓から逃した。
「ありがとう!…奏時君て王子様みたいだね」
優しくて、スポーツも勉強もできて顔も整ってて本当に王子様みたい。
私はそんな事を思いながらぼーっと奏時君を見つめていた。
この初恋があんなにも拗れに拗れるとは誰がこの時予想できたであろう。
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