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中学では未来とはクラスが別れてしまい、これといった接点がなくなってしまった。
たまに未来は自身の友人を訪ねにクラスに来たりはするが、挨拶する程度でなんと言って声をかけていいのかわからずに月日が流れていった。
(何かアクションを起こさないと)と気ばかりが焦ってしまう。
部活を終えてボールを片付けている時、そんな事を何げなく加藤に話していると2年の先輩に話を聞かれてしまった。
「なんだよ。まだ何の進展もないのか?もう告って付き合ってるかと思った。なあ?」
そう言ったのはうちの部のエースの南沢先輩。
その横に話を振られた津田先輩は前に未来のことが気になってて紹介してと言っていた。
「いや、俺に振られても……だいたいさぁ、お前らはサッカーもうまくてイケメンで女子からキャーキャー言われてるからそんな呑気に構えてられるんだろうけど、俺はもう気になった子には当たって砕けるしか無いんだからな。」
それを聞いて南沢先輩が笑う。
「いやいや、お前のはただの数打ちゃ当たるじゃん。」
それを後ろで聞いていた三年で部長の五十嵐先輩は、南沢先輩の肩に手を置いて首を横に振る。
「津田はただ惚れっぽいんだ。」
「五十嵐先輩、何のフォローにもなってないっす」と津田先輩は呟いた。
南沢先輩は手をパンっと一度たたく。
「ま、津田はともかくだ。可愛い後輩のために俺が人肌脱いでやろうか?」
「え?!…例えばどんな?」
「俺がその未来ちゃんとやらにわざとぶつかって喧嘩ふっかけたところに谷が助けにくるとか?」
みんなベタすぎるその案にポカンとしていたが、加藤が吹き出して笑った。
「南沢先輩、ベタすぎだし完全仕込みなのバレますって!」
「谷と同じサッカー部だしな。」
五十嵐先輩も頷く。
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