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第一話 部活動
〜今年4月〜
「嫌です。何度言われたって無理です。」
教室に二人。
私、清水椋と担任の中山将司。
「そう言わずにっ!お願いです!バスケ部入ってください!!」
「ムーリー。私はバレー部か剣道部だって決めてんの。」
「剣道、部活でやらなくてもうまいじゃないですか!」
「うまいから勝つためにやるんだろ!」
「え、ボコしたいってことですか。」
「そうなるな。」
「嫌ですね。不良になったら出席停止処分しますよ。」
「なんで不良になる前提だよ!私はバレー部に入るんだ!!」
「えぇ〜……。」
中山はバスケのチームに入っているくらいだから、確かなバスケの腕だ。
そのためか、小学校の部活動もバスケ部は彼が先生。
モテそうな男子ばかりの集まるバスケ部だが、そのオーラに近寄れずに、女子部員は毎年ゼロ。
だから私をバスケ部に入れて、他の女子も渡しについてくる……っていう魂胆らしいが、無理だ。バスケは無理。
嫌いなわけじゃない。むしろ好きだ。
しかし、私が嫌なのはそこじゃない。
「お前と部活とか、絶対嫌なんですけど。」
「なんでそこだけ敬語になるんですか。……ホント、椋さん先生のこと嫌いですよね…。」
「ったりめーだろ。ムリムリ。生理的に受け付けない。」
「はぁ、もう担任やめよっかな。」
「そうしろそうしろー。」
朝起きて学校来て、帰って寝る。
その間ずっと中山と一緒なんだ。
クラスも同じだし。
だから離れれるのは休み時間か部活の時間しかない。
ただ、その貴重な時間までも一緒にいるだなんてあり得ない。許せない。
「バレー部に入部希望出す。」
「えぇー……。あ、裕太さんはバスケ第二希望ですよ。」
「それで釣られねぇぞ。むしろこいつと一緒なのも嫌だ。」
「身の回りの人全員嫌いなんですか。」
提出された希望用紙をパラパラめくりながら中山は苦笑い。
(実は、裕太さんは第一希望バレー何だよなぁ……。なんか気合うよなぁこの二人……。)
「たとえ死んででもお前とバスケはしたくねぇ!」
バン!!と机に紙を叩きつけて教室から出る。
「……やっぱ、第一希望はバレーかぁ…。って、第五希望にバスケ……。無理だなこりゃ…。」
あーあ…と髪をかく中山。
椋を手懐けるのは、いつの話になるのだろうか。
〜〜〜
「…五年一組、清水椋。バレーではトスが得意だ。よろしく。」
パチパチパチ…と拍手がなる中、椋はうんざりしていた。
(んで裕太なんかとおんなじ部活…!折角好きなバレーに入れたってのに!)
黒いオーラーをまとわせる椋に、四年生がビクッと怯える。
部活は四年から上だけがするものだが、去年椋は弓道部に入っていた。
毎年変わるくらいだから、そんなに大層なものではない。
小学校の部活なんて、そんなもんだ。
弓道部にいたときは、流石の運動神経で矢の飛び方なんかは先生べた褒め。
しかし、目が悪すぎて的が見えず、大会では予選落ちだった。
バレーに入れば、目の悪さなんて関係ないだろうと思い、バレーに入った束の間。まさかのあのライバル、裕太と同じだなんて。
「そのオーラしまいなさい。俺がいるの嫌なのはわかるから。」
裕太が肩にぽんと手を置く。
「さわんなクソ。」
「いつにもまして不機嫌だね。」
「わかってんなら話しかけんな!」
「う〜ん、でもチーム一緒だしそうは行かないかも。」
「は、」
ホワイトボードに書かれたチーム。
四年二人、五年二人、六年二人の六人チーム。
まさかのまさかの裕太さんと私は同じチームだったのでした。
「まじかよ……。何、なんか仕組んでる?」
「仕組んでないよ。俺だって本当は嫌だ……って、言ったら殴るよね?」
「殴っていいか。」
「ダメー。」
「分かった殴る。」
「理不尽!!」
チームの四年生には怖がられ、六年生には「大人しくしろ」と注意される。
最悪のコンビネーションでも、中々二人は息が合う。
「んじゃあ私セッター(トス)で。」
「俺アタック係。」
「アタック係ぃ?何、アタックゼロで洗濯でもすんの?あーそうか。あれだ、ユニフォームとかビブスとか洗う…マネージャーか。」
「ちげぇし!ミドルブロッカーぁ!」
「最初からそう言えバカ。」
いがみ合う二人にまたもため息をつく六年生。
「よし、配役は決まったな。…それより、五年二人大丈夫か?仲悪そうだが。トスとアタックは仲いいほうが……。」
「仲悪くとも息は合うので問題ないです。」
「勝つためならこいつ何でもするんですよ。」
にやりと笑い合う五年二人。
その笑い方はなにかいたずらっ子の笑みのようだ。
と、いうか、私たち二人はいたずらっ子だ。
その笑みを見せたらもう終わり。
相手は災難としか言いようがないだろう。
「んじゃあ、そろそろ一試合目始めるぞー。一試合目はA対BとC対Dだ!」
先生の掛け声と共に、皆で位置につく。
私達はAチーム。
Bチームの奴らは、「あの二人問題児じゃん」とナメて嫌がるのでボコボコにしようと思う。
「初め!」
ビィーっと笛の音がなり、サーブがボールを打つ。
〜〜〜
それから3分後。
点数板をちらっと見た。
Aチームは23点。
Bチームは2点。
ホント、可哀想だ。
三分でこのざまだなんて。
私と裕太の息が合っちまえばもうこっちのもんだ。
「お、お前らすごいなぁ。」
「五年生の二人、一分間に8点取ってるよ……。すご…。」
後ろから聞こえるセンパイとコウハイの声。
仕事がなくて棒立ちの四人の声。
前二人が働きすぎた。
「裕太、あとの2点は四人に取らせよう。私達はもう用済みだ。」
「ミドルブロッカーとセッターいなくても点取れるよね、?取ってね。」
休憩休憩……と後ろに下がってお喋り始める私達。
バレーのローテーションとかなんやらはもう知らない。
ボールを落とさなきゃいいんだから。
そんな極端な考え方で、約五分たつと、もうこっちの圧勝だった。
「25と7か……。弱…。」
点数板を見ながらプッと笑う。
「ちょっと序盤に打ち過ぎたね。次からは気をつけようっと。」
裕太がネットを片付けながら笑った。
私はボールを壁に打ち付けて遊んでいる。
「あ、ビブス誰か直してきてくんないかな?手ぇ空いてる人ー!」
先生が聞くも、誰も手を挙げない。
「裕太くん暇だってー。」
「はっ、」
「おー、そう?だったら裕太さにお願いしようかな。」
ビブスを裕太に手渡して体育館を出ていく先生。
私はくすくす笑って裕太を見た。
「マネージャーさん、アタックで洗濯しねぇと。」
ビブスを指差すと、裕太が私からボールを奪って私に投げつけた。
「お前が行けぇえーーーっ!!!!!」
【番外篇① 完】
あんまり面白くないですね?
次回は笑わせます!!
( ・´ー・`)どや
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