129人が本棚に入れています
本棚に追加
蚊
最近は、夜も暑いため、私は窓を開けて寝ていた。
もちろん、網戸はガタつきもなく、網はしっかりと貼ってある。
この間叔父に破れた網を修復してもらったばかりで、
なんでも黒い網戸は虫が寄り付かないと言っていた。
さらに、家にはG(自主規制)やアリ、ハエなどの類はよく出現したが、
「蚊」なんてものは今までに滅多に入ってきたことなどなかった。
……はずなのに。
昨夜、私は風邪で寝込んでおり、
暑さと痒さで夜中の1時に 目が覚めた。
何か痒いと思ったら、腕と足に、
合計4箇所も蚊にさされていた。
今まで2階に蚊など入ってきたことがないというのに。
油断していた。
あの忌々しいモスキート音にも気づかないくらい
眠っていたのだろう。
そういえば、1階にノーマットタイプの蚊取器具があったなと、
私は1階の物置きを探った。
本体のみ。液なし。
まったく、まったく役に立たん。
まあ、滅多に使わないものだから仕方ない。
その日はあきらめ、再び就寝することにした。
しかし、この部屋にはまだ蚊が潜んでいるということだ。
電気をつけて少し辺りを見回してみると、
ちょうど寝台のそばの壁にそれはいた。
白い壁に止まっていたため、とても目立っていた。
蚊自体は、そんなことを気にもしていないのだろうな。
私は、すぐさま蚊をつぶさないように軽く叩いた。
こんな軽い力でも死んでしまう蚊の命とは、
いったい何なのだろう。
私は、蚊の姿をじっと観察するように見た。
……こんなに腹の部分が赤く膨れ上がっている。
それは、こいつ1匹で私の体を4箇所刺したことを物語っていた。
さぞ、満腹で満足だっただろうな。
しかし、こんな病人の血を吸わなくてもいいだろうに。
そう思いながら、私は蚊をティッシュにくるんで
ゴミ箱に捨てた。
最初のコメントを投稿しよう!