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お店の外に出る。
小さな小瓶が、私の手の中あった。
木漏れ日に瓶をかざすと、
透明で、輝いて見えた。
森から国道に出て、歩いて家に帰る。
雲一つない空。
通り抜けていく数々の車と景色。
照りつける日差しと、蝉時雨。
当たり前の景色が
輝いて見えた。
社会人になって、三年。
静かに、ただ。
与えられた仕事をこなして生きている。
上司の叱責に苦しむ。
人間関係に苦しむ。
溜まっていくストレス。
擦り切れていく心。
心は、雨で酷く濡れていた。
痛みから、自分を守ってくれる人なんていない。
仕方がないんだと悟っても。
ふと、考えてしまう。
「私は何のために生きているのだろう?」
……そんなものは、人類の大きな課題だ。
私が背負える程、小さくないから。
考えることを辞めようとしてた。
澄み渡る空気と対比する私。
昔から、考えることは好きだった。
空は何故青いのか。
海は何故青いのか。
とりわけ、疑問の多い子供だったように思う。
目を閉じて思い返すのは小さい頃。
お母さんも、お父さんも優しくて。
友達と関わって、世界が広がって。
少しずつ、成長していく自分が。
そして、周りにいる人みんなが好きだった。
上を向いたら見える空。
憧れの海。
美味しいかき氷のブルーハワイ。
青い色が、好きだった。
……いつからだろう。
好きな人と、嫌いな人が出来てしまって。
分かり会えない人がいると
悟ってしまって。
誰かの言葉に、傷付いていて……
青色が、ネガティブな色に見えて。
気付けば、卑屈になってしまった。
昔の私は。
今の私のような成長を、望んだだろうか。
そんなことを考えていたら。
胸が締め付けられる位、苦しくなった。
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