とうめいおくすり

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店の中で、思い出屋さんの老婆が呟く。 「……あの薬は、そこにあるだけで、その小瓶の持ち主に寄り添い、色を変える薬。」 「お客様が、本当に必要とした景色が、透けて見える薬。」 「身体も、心も、通り抜けて。」 「昔の透明な幼心を、思い出す薬。」 「……きっと、あの方も。思い出してくれるんだろうねぇ……」 薬が無くなった後の戸棚を見て、 微笑みながら、そう呟いた。
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