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「スドウ先生、あの、薬の話を聞いたんですけど」
「薬? 何の?」
「クラスで誰かが話してて。なんか、願い事がかなうっていう」
「そんな薬があったら、先生も欲しいなぁ」スドウ先生は笑いながら答える。
あれ、知らないの?
それとも、しらばっくれてる?
試されてるのかもしれない。
僕がどれくらい本気なのか。
「その薬で足が速くなった人がいるのを知ってます。僕もどうしても、絵がうまくなりたいんです」
少し怒ってると思われたかもしれない。
でも、先生は何秒か考えると、教えてくれた。
「あぁ、あれは薬じゃないよ。おまじないとかお守りみたいなもの。だから絶対かないますって約束はできないけど、それでもよければ」
そう言ってスドウ先生が机の引き出しから取り出したのは、ふつうの封筒だった。
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