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私の不貞の事実を前にあれほど
狂ったように責め続けた由香里
「いったいいつから…」
突然疑問が湧いてきた
訪れた心療内科では
「お話を聞いていると職場環境には、それほど問題がないように思えますね、少しお休みを取ってご家族とコミュニケーションを取られるのが良いのでは?」
と言われた
コミュニケーション…
たしかに仕事にかかりきりの私は
家族とのコミュニケーションを
ないがしろにしてきたところは否めない
まだ薬を処方するほどではないとも言われた
帰り道、私は再び冷静になって考えた
片桐との関係は一体いつからだ?
先程の様子が目に浮かび、どう考えても昨日今日の関係では無いように思われた
私は思い切ってその足で
興信所に出向き、調査を依頼することにした
目には目を 歯には歯を、だ
結果は思っていたよりも早く報告された
片桐は、由香里の実家近くに住む同級生
いわゆる幼なじみで、私と結婚する以前に
交際関係があった事
就職して一旦別れたものの
5年前に片桐が結婚すると、程なくして
関係が復活したと言う事だった
W不倫…
巷では、最近よく聞くワードだ
笑えるじゃないか
哀れなサレ妻を装っていた由香里
しかし実際には私がサレ夫だった
訴える事はしない、私の不貞に対して
そう言った由香里に感謝すらおぼえたが
なんの事は無い、私を訴えようものなら
その対抗手段をこちらが興じた時に
由香里自身無傷ではいられないからだ
興信所には、いずれ裁判で訴えるつもりなら
不貞の具体的な証拠があったほうがいいので、
片桐が家に来そうな曜日を狙って
まずはお部屋か、奥様が外出されそうな時
バッグにボイスレコーダーを仕込んでみては
いかがですか?と言われた
私は言われるがままに、それを実行した
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