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昔、テレビの特集で、自分が知らないうちに
部屋に盗聴器が仕掛けられていて、それを専門家が見つけ出すと言う番組を見ていた私は
『なぜ本人が知らないうちに
盗聴器が仕掛けられているのか』
という素朴な疑問が浮かび、テレビの取材内容に釈然としないところがあった
しかし、何のことはない、
今となっては、その盗聴器を仕掛けたのが
身内だとわかる
恋人なのか、夫なのか、妻なのか
浮気を疑い、浮気の証拠、不貞の事実を
つかもうと盗聴器を仕掛けたのだ
色々なことがストンと腑に落ちた
と同時に、私の精神が闇に落ちた
それからだ
地方に異動になったとは言え
茨城の営業店までは自宅から通えていた
しかし、だんだんその距離を苦痛に
感じるようになる
仕事中に1人笑いや独り言が増えた
上機嫌と不機嫌が交互に来て
部下たちが気味悪がり、パワハラで
コンプライアンス部に訴える者が現れた
私は再度異動となった
仕掛けていたボイスレコーダーには
由香里たちの不貞の事実が録音され
それは今後の成り行きによっては
私の武器になり得るものとなった
そう、だがそれでも
私たちは別れない
体裁が悪い?愛情が残ってる?
あるいは
ただ怠惰なだけ…か?
表面上はこれまで通りの生活
妻は、私が彼女の秘密を知ってしまった事に
気がついていない
それどころか、私がこの短期間に2度も
異動になっている事すら気づいていない
のではないかと思う
そうしてすでに破綻しているにも関わらず
私たちは夫婦関係を続けていた
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