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あたしは、ぶんぶん頭を振り続けた。
『う、うげっ』
(また、吐いてる)
『嘘!? あたし酔ってるの?
臭い……どうしてよ』
(駅のトイレの便器に両手をついて吐いてる)
『いゃぁ、また吐き気が……うげっ』
アルコールの混じった吐瀉物(としゃぶつ)の、すえた匂いがトイレの中に充満した。
あたしは便器に手をついている左右の手を、交互に見やりながら、
『ふうっ』
と深いため息を洩らした。
(あたしぃ、アルコール類は、一切飲めない身体なのに。
飲むとジンマシンが出る筈。
……やっぱ変だわ。
これが現実である訳が?)
あたしは両手にジンマシンが出てない事を確かめて、首を捻(ひね)った。
あたしは、ふらつきながらトイレのドアを、ゆっくり開けた。
トイレを出て、フラフラしながら歩いていたら突然転んだ。
『い、痛ぁい!』
尾てい骨を思い切りぶつけた。
頭の中を電気が走った。
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