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「君は冗談を言う人?」
「えっ!?
あたしこんな時に冗談なんか言いません」
(何言ってるの。このお巡りさん)
あたしはチョッと憤慨したような口調で言った。
「何を言ってるんだ。
さっきまで一緒に飲んでいたじゃないか?
それにしても、君がトイレ行ってくるわねと言って、姿を消したから店は大騒ぎだったぞ」
「……」
「どうした……沈黙して?」
(……どう言う事よ?
もしかしたら、あたしかも……)
「あたしじゃないわ。
もしかしたら、あたしの妹では?」
(……妹で、誤魔化すしかないわね)
「えっ、妹?」
「妹は由美って言うのよ。
あたし達、一卵双生児なの。
妹は失踪して行方不明よ。
妹とは知り合いですか?」
(あれっ、どうして由美ってすんなり名前でたのかしら?)
「私は小田和義。彼女とは一昨日、交番で初めて出会った」
「えっ、
……交番で、何か事件?」
あたしは、そう尋ねた刹那、
胸の鼓動が激しく乱れ打った。
そして軽い目眩(めまい)が襲って来た。
それで、あたしはバランスを崩しかけた。
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