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「大丈夫か」
『あっ』
『ゴー』
と突然耳なり。
そして視界がグルグル回り出した。
あたしはヘナヘナと腰砕けになった。
「そこにベンチがあるから、ちょっと横になったほうが良い」
あたしは、抱き抱えられるようにしてベンチに寝かされた。
小田と名乗った警官が、彼の上着をあたしに掛けてくれた。
上着を掛けられた刹那、スイッチが入ったかのように、突然急激な睡魔に襲われた。
あたしは、まるで深い海の底に引き摺(ず)り込まれるように吸い込まれていった。
『ここは何処?』
起き上がろうとしたが、金縛りにあったようにピクリとも動かない。
人の気配を感じた。
重たいまぶたをゆっくりと開く。
黒目がひっくり返って半分崩れた顔が、目の前に浮かんでいる。
『ギャァ』
悲鳴を上げたけど、声がでない
(これは夢なの……)
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