死霊の館

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由美は、私の事はすっかり忘れていたよ」  『ごめんなさいね。あたし最近ねぇ記憶が飛ぶの。……ねぇ、飲んでいい?』 甘える仕草で、微笑しながら呟く。 『おぉ、なんでも!』 『すみませぇ~ん』 右手を挙げて、鼻にかかった声を発した。 控えていたボーイがやって来た。 『いつものドリンクね』 『千円、前金です』 千円をボーイに払う。 『この仕事、長いのかい?』  『あたし、昔の記憶がないの。最近の記憶も、時々途切れたりよ。 あたしの事は、ルームメートの楓(かえで)に聞いてよ』 少し投げ遣りな口調で云った。
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