死霊の館

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あたしは声を飲み込んだ。 ベッドの上の毛布がゆっくりと動いている。 毛布がズレ下がる。 あたしは、 『起きて逃げて』 と叫ぼうとしたが声がでない。 毛布の間から白い手が現れた。 そして、ぬぅーと全身が現れた。 びしょ濡れの少女であった。 幼児が天井のあたしを見上げた。 顔は紫色に変色して、ぶよぶよと膨らんでいる。 瞳はドロリと垂れ下がっていた。 少女の赤黒い唇が邪悪に歪んだ。 見覚えがあった。 5歳の頃の姉の真理であった。
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