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動物たちの世界『ピュアフレンズ』
ボクの名前は『うさぎ』。ただのうさぎだ。
そして、ボクの親友の名前はさっき喧嘩してしまった、ただのかめこと、「かめさん」である!
かめさんは昔から今みたいな性格で、だから昔もよく喧嘩をした。
けど、すぐ仲直りをする。なぜなら、ボクたちの絆は誰にも引き裂けないから。
例え、どんな理由があろうとも、ボクらが絶交することはない。
かけがえのない、たった一人の親友だから……。
ボクは、だから。だから今、こうして走っている。
さっき喧嘩してしまったかめさんと一刻も早く仲直りをするために。
絶対に探し出してみせる!
ボクの体が引き裂かれようとも、ぐちゃぐちゃにされようとも、絶対に、絶対に! ボクはあきらめない!!
「うおおおおおぉ! どこだかめさ~んっ!!」
叫ぶと、ボクの体は余計に暑くなり、なぜか走るスピードがわずかに速くなった。
一体、なぜなだろうか?
いや、疑問に思うほどでもない。
かめさんのためなら、ここまで出来るという、体への表れなのだ。
なにも、不思議に思うことなんて一つもない――。
――ボクは、ただかめさんを探すことだけに、集中していればいいんだ!!
ボクは、疲れることを忘れるかのように、足の速度を一切落とさず、猛スピードで今も走っている。
この足が止まるのは、かめさんを見つけた時だけだ。
***
…その頃、かめの方では。
「たくっ! アイツまじムカつくぜ!!」
チェッ! と、舌打ちをしながら吐くと、かめは横にいるシロクマに自分の怒りを発散しようと、キツく言い放った。
「お前もそう思うよなぁ!?」
かめは無理やり共感させようとしてくるが、シロクマはうろたえることなく、ただ自信の意見だけを口にするのであった。
「いや、お前も十分悪くね?」
「あ?」
そのシロクマの言葉に、かめは耳を傾け、図々しく近寄った。
「今なんつった?」
「いや、だから!」
もう一度。
「今、なんつった!?」
ついに、かめの圧力に負けたのか、シロクマはおとなしく、ただコクンと頷く。
「ごめん。」
どうやら、このかめの様子だと、うさぎを許す気は全くないらしい。
二人はどうやって、仲直りは果たすつもりだろうか?
明日はついに試合。年に一度の『爆速!動物50メートル走!!』だというのに……。
今すぐにでも、仲直りをしてほしいまでだ。
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