義姉と義弟の変化

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義姉と義弟の変化

 この日を境に、ジゼルはライナーから少しずつ距離を置くようになった。  それまではライナーのことならなんでも知りたがり、更に時間を見つけては何くれとなくライナーの世話を焼いていたジゼルなのだから当然のごとく周囲は変化に気づいた。  二人の間に何があったのかをそれとなく、あるいは直接聞いてくる者も多くいたが、ジゼルはすべてに「ライナーがこの国に来て一年になるのだし、あの子だってもう一人で大丈夫かなって思うの」と返していた。  その答えに納得してくれたかどうかは不明だが、問いかける相手があっさりと引き下がってくれたのはジゼルが国内外の男性の情報を少しずつ集めるようになっていたせいかもしれない。  きっと、 「ジゼル様はご自身の婚約者探しに忙しくて、義弟君(おとうとぎみ)に構う時間が減った」  とでも考えてくれたのだろう。  さすがに多くを語れば胸の奥にしまい込んだ痛みを隠せなくなるので、深く追求されなかったのはジゼルにとってありがたいことだった。
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