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「皆さん、私から絶対に離れないでください。」
3階の呉服屋みたいな店の近くまで来てから、気づいた。
明らかに悪い目線を向ける輩がいる。
洋服を着て、はしたないくらい肌を露出した、女集団。
玄瑞の爽やかな笑顔が、崩れかけている。
九一の無表情が、崩れている。
「あー、男好きのキルメニイじゃん。
今日は3人も連れてるんだー」
キルメニイとは誰だ?
男好き?
3人も?
「煩い。寝言は寝てから言え。」
「え、何々、ごめんねー、協調性のない残念な人の声が聞こえなーい。」
そのうちの一人がこっちに向かってきた。
「お兄さんー、こんな男たらしじゃなくてさ、わたしたちとあそばない?。
それにこいつ、
ク・ラ・ゲじゃないからね。
海月なんて偽名だよ~ん。」
「・・・断ろう。」
「うわっ、めっちゃイケボなんだが。
まりー、この人めっちゃイケボだ~。」
九一の声がそんなに珍しいか、騒ぐ女。
九一や俺の腕に手を絡みつけ、身体を近づけてくる。
玄瑞の方を見ると、あいつちゃっかり海月に抱きついている。
「そんな青二才の常套手段だと君たちみたいな薄い男しか引っ掛からないよ」
「そうですね~。栄太郎くんの言う通り、僕達あまり女の子に興味がなくて。
あと邪魔なんですよね。どいていただけません?」
「えっ、えーお兄さん達絶対にこっち来たほうが楽しいよ。」
「どいてください」
「いやでーす」
「邪魔だからどけと言っています」
「はあ?まじおもんない。」
グチグチ文句を言いつつ離れていく。
そんなに玄瑞が怖いなら喧嘩売らなきゃいいのに。
「すいません。」
海月が謝ってくる。
「いいんですよ。」
「私、本当は、キルメニイなんです。」
「・・・でも、海月は海月じゃないのか??」
「・・・はい!!」
太陽のような笑顔だった。
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