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二人は、ほぼ同時にビデオ通話のボタンを押す。
すると、自分の顔が映った。
「あれ……?」
画面は、自分の顔が映るモードだっただろうかと、あちこちいじってみるが、特におかしなところはない。
そのうちに、画面に映る自分の服装が違うことに気づいた。
「ん……?」
「ん……?」
二人同時に眉を顰めて、画面とにらめっこする。
髪の色、顔の輪郭、目鼻立ち。
ねるとネムの顔は、鏡を見ているように瓜二つだったのだ。
「えぇーーっ!?」
「まさか、本当に兄弟だった!?」
「一卵性の双子だったり?」
声までそっくりだった。
ハタから見れば、どちらが何を言ったのかわからないほどだ。
ネムは自分の双子の兄弟かもしれない──。それならば、母親は今どうしているのだろうと、ねるは思った。顔も覚えていない母親だが、やはり会ってみたいという気持ちはあった。
「ネムさんのご両親は、元気?」
「うちは、母親だけだけど……どうして?」
「うちはね、父親だけなの」
ねるは、ネムに父親から聞いた話を伝えた。
「それってもう、ほとんど確定じゃない?」
「やっぱり、そうだよね」
なぜ双子の兄弟のことを隠していたのかはわからない。しかし、嫌いになって別れたのでなければ、両親二人を合わせてもいいのでは、という話になった。
「それいいね! 早速、提案してみるよ!」
ねるは、一旦ビデオ通話を切り、父が買い物から帰ってくるのを今か今かと待っていた。その間ずっと笑みが止まらず、ソワソワしていた。
父が帰って来て、リビングのソファに座ったところで、ねるは話を切り出した。
「ねえ、お父さん」
「ねえ、お母さん」
ねるとネムは、同日同時刻に、それぞれの親に話しかけていた。
「今度、会わせたい人がいるんだけど」
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