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「それで、やっと卒業して進学できたの」
「…そっか…、あの事件の…河村さんが」
麗香がこっくりとうなづいた。
「まあ、俺も少しだけど車椅子ユーザーだったから、わかる、なんて軽々しくは言えないけど」
「ありがとう、三田さん。ごめんなさい、こんな重い話して」
「そだな、あまりしない方がいいかも。散歩仲間だけの話にしといた方が無難じゃないかな。いろんなやつがいるから」
正直、一聖も戸惑った。事件の記憶はあるが、女子高生が馬鹿げたことをしたと思ったのであるから。
次の体育の授業の時である。校門の近くを散歩組が歩いていると、入って来た男がじっと麗香を見つめた。
「あんたが春江学園のバレー部の人だろ」
「…」
「車椅子なんてここにはそういないだろうからな。丸文に入学したのはとっくにばれてんだ」
「え、あの…」
「相変わらず不細工だな。おまえらは犯罪者なんだからよ。早く逮捕されろよ」
言い捨てると男は出て行った。
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