27th

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「ありがとうございます。それで、代替案としてだいぶ先になってしまうんですが1年後にデートしてもらえないでしょうか? 就職活動をしている間はきっと忙しくてまた今回のようになってしまうかもしれないので」 しばらく沈黙が続き、1年は遅すぎたかと不安になった。 怖くて住吉コーチの方を見られず目の前の道路を過ぎていく車をただ目で追っていた。 「蒼ちゃん」 そう言って名前を呼ぶ声は泣きそうに震えていた。 驚いて住吉コーチの方を見ると堪えるように目に涙を浮かべていた。私はまた身近な人を悲しませてしまっているのか、いや不安にさせてしまっているのだろうか。 「よかった。てっきり別れようとか言われるのかと思った」 予想外の言葉にはい? と変な声を出してしまった。 「なんで別れるんですか? だってまだデートもしていないのに」 「だって俺がデートにも誘わないし、少しでも会おうとする努力もしないから嫌われちゃったかと思って。デートを断った理由も本当は嘘なのかもしれないって不安になって」 「インターンシップは本当です! それに、お互いに忙しいから会うのは難しいのは分かっています。毎日メッセージのやり取りをできるだけで私は嬉しいし、元気が出るんです」 つい大きな声で反論してしまった。
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