27th

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少し驚いたような顔をしているが、泣きそうだった顔が少し嬉しそうに笑っていくのを見ると安心した。 「そろそろ戻らないといけないので失礼します。急に呼び出してしまってすいませんでした」 そう言って車を降り、急ぎ足で家へと向かった。 振り返るとまだ車の中で目を拭っているのが見えた。 大切な人を不安にさせてしまっているのかと自責の念に駆られたが、それと同時に自分の事を思ってくれている人がいるのだと痛感させられた。 自宅に戻ったと同時にメッセージが届いた。 『情けない男でごめんね。何も力になれないけれど応援しているからね。あと、デートの予定は先に延びちゃったけど、楽しみにしているからね』 『そんな事ないです、近くにいてくれるだけで嬉しいですから。予定はだいぶ先ですけどちゃんとデートに誘いますから待っていて下さい』 『うん、楽しみに待っているよ。おやすみなさい』 ようやく胸に痞えていたものが無くなり、気持ちが楽になった。 後は自分がやるだけ。気合を入れて机に向かった。 インターンシップはトラブルもなく終わったが、自分の頭の固さに嫌気がさした。 もう少し柔軟な考え方やコミュニケーション能力を上げなければ。言われた事だけをやるだけでは学生と同じだ。
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