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上の空の返事をする住吉コーチの表情は硬く、冷や汗をかいているようにも見えた。
「もしかして高い所苦手なんじゃないですか?」
「・・・そんな事ないよ」
「顔が強張っていますよ」
「・・・・・・ごめん、この不安定な感じの高い所は少し苦手なんだ。飛行機とかは大丈夫なんだけど」
「わかります。私も少しだけ怖いので」
「えっ! そうだったの? ごめん、勝手に乗ろうなんて言って」
「別にそれはいいですよ。少し怖いけれど景色は奇麗なので。それよりも苦手なら無理に合わせようとしないで下さい。苦手なものを無理やり合わせてもらっても嬉しくないです」
「ごめん・・・観覧車ってデートの定番みたいだから乗った方がいいのかなと思って」
理由が可愛いがわざと少し揺らした。
「蒼ちゃん、わざと揺らさないで!」
もう1度立ち上がり、そのまま隣に座った。その衝撃でまた揺れる。
「だから揺らさないでよ・・・」
「これに懲りたらもう無理に合わせないって約束してくれますか?」
「うん、する! もう苦手なやつはちゃんと言うから。だからもう動かないで!」
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