28th

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そう言って手を抑えられ、揺れが落ち着いてくると手を握られているという状況になっている事に気が付き緊張してきた。 自分自身も揺れるのは怖かったが、それ以上に悔しくて意地悪してしまった。 無理に手を振りほどくのも違う気がしたので外の景色を見ながら気が付いていないふりをする事にした。 「あのさ、ごめんね。年上だから少しでもリードしなきゃと思って。でもどうしたらいいのかも分からなくて・・・」 「・・・別にそんなの求めていないです。いつも通りの住吉コーチでいいんです」 そう言って少しだけ手を強く握ったら同じように握り返してくれた。 外の景色が徐々に低くなってくるともう終わりかと少しだけ寂しくなり、現実に戻されるような感覚だった。
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