30th

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30th

1stからの続き****** エンジン音が聞こえなくなり、ようやくベンチから立ち上がると公園の入り口に国枝コーチが立っているのが見えた。 「蒼ちゃんの嘘つき。どこにも自転車がないんだけどな」 「・・・すいません」 「もう、どこにあるのかなってこの公園まで探しに来ちゃったよ」 「こんな所にある訳ないじゃないですか」 「ばれた? 蒼ちゃんがこの公園に入っていくのが見えたからついてきちゃった。もう暗くなってきたから人気のない所は危ないよ」 「もう帰りますよ」 「えー、蒼ちゃんのせいでまだ戸締り終わっていないんだから手伝ってよ。住吉コーチはさっき帰る所だったからもう戻って来ないだろうからさ」 嘘をついてしまったという罪悪感から言い返せず仕方なく一緒にスクールに戻った。 レッスンは終わったようで外の戸締りを終えて中に行くと残ったコーチや事務員さんも帰る所だった。 これで入り口の戸締りをすれば終わりだろうと思っているが国枝コーチが出てこない。 「蒼ちゃん、こっち来て」 コートの方から声がするので近づくと用具室の前でボールがばら撒かれていた。 「ごめん、最後の籠を片づけようとしたら倒しちゃった」
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