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最初は不審な顔をされたが一緒にコーチとして働かないかと言ったら目が輝いたんだ。
「でも俺なんかが人に教えられるか分からないです」
「大丈夫。実力はあるようだし、教え方は僕が教えるから」
「でも・・・」
少し間が空いてからゆっくりと自分の状況を話してくれた。
子供の頃から家庭環境が悪く、人とコミュニケーションを取る事が苦手な事。
父親の暴力から逃げるために早く働いて家を出たい事。
母親はすでに家を出てしまっているのでまともな家族がいない事。
「こんな俺でも働けますか?」
不安と希望の入り混じった目は真っすぐだった。
「もちろん。家族の事は大変だっただろうけど、君の人生は君の物だから。君が僕と一緒に働くことを望んでくれるなら力になるよ」
「ありがとうございます」
そう言ってしばらく彼は頭を下げたままだった。
ようやく顔を上げると少し涙目になっており、光できらきらと輝いても見えた。
未成年という事もあり学校と父親へ話をしに行った。
双方から了承を得るのに大した時間はかからず卒業とともに住み込みの部屋を用意し、そこから彼の新しい人生は始まった。
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