23人が本棚に入れています
本棚に追加
31st
話が終わる頃にはようやく体を上げる事が出来た。
「ね？ 面白い話でしょ？ 住吉コーチの知らない面を改めて聞いてどうだった？」
「面白くは無い気がしますけど」
「そうかな？ 僕と住吉コーチの面白い出会いの話だと思うんだけど」
苦労した過去、自分で踏み出した新しい自分の人生。
何度も不安そうな表情を見せたり、謝ったりしていたのは自分の大事に思っている人が離れてしまうのではないかという恐怖。
コミュニケーションを取る事を苦手としている不安。
「そっか、だからいつも不安に襲われているんだ」
「蒼ちゃんの事を本気で大事にしたいと思っているからこそ不安に感じているんだと思うよ。それが裏目に出てしまっているけれどね」
「それなのに冷たく当たってしまった。八つ当たりみたいにしてしまった」
「新しい自分の人生を決める不安は住吉コーチも味わっているからもっと話をしてあげて。きっと蒼ちゃんの決断を見守ってくれると思うからさ」
自分で抱え込んで、抱えきれなくて優しくしてくれた人に八つ当たりをしている自分はどれだけ最低な人間だろう。
でもここで終わりにしたくない。
最初のコメントを投稿しよう！