32nd last

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ボールを用具室に片づけ、戸締りをしてようやく外に出た時には空に星が出ていた。 「はい、これ」 国枝コーチから飲み物を2本渡された。 「それを飲みながらもう少しお互いの事を話してから帰ったら? デートだと上手く話せないみたいだからさ」 にやにやと笑いながら去っていく後ろ姿に悪態をつく間もなく行ってしまった。 「じゃあベンチに座って話しようか」 夜風に吹かれながらベンチに座っていると心地よかった。 「さっき国枝コーチから2人の出会った時の話聞きました」 「あぁ、お恥ずかしながら最低な家庭でね。あの人に出会っていなかったら今の俺はいなかったよ」 「でもそこから飛び出した住吉コーチはすごいと思います。私はまだその勇気がなくて自分自身にもどかしくて」 「国枝コーチがいたから飛び出せたんだよ。飛び込んだ先に助けてくれる人がいるって思えたら踏み出せたんだ。だから今度は俺が蒼ちゃんの飛び込む先にいたいって思った。俺じゃだめかな?」
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