おくすり

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「なんで、そんなに薬を飲みすぎるんだよ」 薬のゴミを拾いブツブツ説教じみた独り言をこぼすダンナ。 「なによ! 偉そうに! アンタなんて鼻くそ男のクセに! アタシはアンタのガキの頃を知っているんだよ! 放っておいて!  な〜んも見たくない 聞きたくもない。この薬飲めば飲むほど悦楽苑に招かれる〜」 (上辺だけ見て······本当のアタシを見てくれないアンタは何なのよ。寂しいよ〜けどね干渉はされたくないの) 2人は会話をしようともせずため息をこぼす。 (俺はどんな言葉をかけて良いのか解らないんだよ。お前は何をしてほしいのか解らねぇんだよ!) お互い心がリンクせずフィーリングだけで付き合って喧嘩も絶えないまま子どもが授かり家族になって精神科の主治医は結婚を祝福した。 「おめでとう。これから幸せな家庭を築き辛い環境とさよならだね」 上辺だけ素直に返答して約束を守るフリをして精神科の受診は1ヶ月に1度になり入院するまで至らずに済んでいる。 リスカは我慢して減ったけれど代わりに精神科から貰っている薬を異常な服用をしては夢と現を行き来して救急搬送される事、しばしば。    その度不安になって、もう赤子でない子どもが泣きじゃくる始末。 (赤ちゃんの頃のお世話は楽しかったかな····ダンナも笑って一緒に遊んでいたかも) どうにか黙らせようと頭を鷲掴みして壁に押し付けながら殴りつける。 (もう何年続いているんだろう。アタシの事を放っておいて好きなようにさせて······死なない程度に合法ドラッグでフワフワするだけ) そんな不穏な家庭環境を近所から通報され児童相談所から職員が訪問してきた。 【おめでとう。これから幸せな家庭を築き辛い環境とさよならだね】 先生の言葉が思い出される。 家族ってなんだろう····アタシは何も考えずにいるとリスカするためのカッターに手も届かず涙が溢れた。 月1で児童相談所の職員が事情聴取をしにやって来て子どもの様子とダンナとアタシの面談が行われ家族離散は免れた。 ダンナは職員が帰る間際アタシは1人になりたくて部屋に留まって見送りもしなかった。 「俺だけじゃダメなんです。アイツがオーバードーズする度、救急搬送されて子どもは不安で泣いたりが続いて家から出ていこうと考えてか何度も家庭の財布から金を盗むんです。俺の方が助けてくださいなんです····アイツだって辛いんです。それだけはわかっています」 ダンナの訴えで相談支援専門員が入り オーバードーズをやめされるため訪問看護に服薬管理をされた。 主婦なアタシは家族にまともな食事を提供できず家の中も掃除できず汚かった。 そのため精神疾患のアタシと一緒に食事や掃除をやってくれるためにヘルパーも介入が始まった。 部外者が家庭内に入る事が増え平穏無事が成り立つようになってきた。 (干渉されるのは嫌だけど関心を持たれるのは良いかな) (誰かが心配してくれているなんて····お返ししたくなるな) (この頃、泣かないお母さん。不機嫌じゃないお父さん。良かったな〜ヘルパーの〇〇さん、早く来ないかな〜) 他人でも心配して親身になって何気ない会話を楽しんでくれて主婦の家事など一緒に楽しくやってくれるヘルパー。 時間内の業務で深入りしない確信だけを付いてくる会話。 これから薬やリスカ以外の楽しみを見つけようと思えるようになった。 それをほじくり出せたのは 鼻くそ男のダンナ、アンタだよ。 口に出して言わないけど ありがとう。 嬉し楽しいお薬とはさようなら。 健康の為だけに飲むお薬こんにちは。
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