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第6話 娘さん、ついにぺろぺろされる
「疲れた?」
ヴィリアムはノエラに優しい声で尋ねた。ノエラはふるふると首を横に振り、目の前のローテーブルに飲みかけのお茶が入ったカップを置くと、背後にいるヴィリアムに背中を預けた。隣り合って座るのもいいのだが、ヴィリアムは身体が大きいので、彼がソファに腰を下ろして座ると、小柄なノエラは彼の太ももの間にちょこんと収まることができる。そうして前後に座って密着する姿勢は、二人がリラックスする際の定番になっていた。
「ううん、大丈夫です。緊張はしましたが、すべきことは少なかったので。ヴィリアムさんこそ、たくさんの方とお話しされて疲れたでしょう?」
ルティドロン国からこのグントバハロン国へノエラを連れてきてから、二ヶ月弱が経っていた。
ノエラをエンドリに紹介したあの日、陸軍本部を後にしたヴィリアムはノエラと一緒に役所へ行き、婚姻の手続きを行った。申請書は無事に受理されて、ノエラはヴィリアムの妻になると同時に正式にグントバハロンの国民になった。
後日エンドリの計らいで、この城下町エンフェリダクスの北東エリアに二人の新居が用意された。少し古いがちょうど空き家があったとのことで、若干の改築を経てからヴィリアムとノエラはそこに住み始めた。調度品は多くが新調されたが、そのサイズはすべてノエラに合わせて標準か、それよりもやや背の低いものが用意された。
新居の改築が行われている間、ノエラはエンドリの弟ランナルの妻で、グントバハロン宗家の末姫であるイルヴァをエンドリから紹介された。イルヴァはノエラよりも二歳若い十九歳とのことだったが、ノエラと同じように武家ではない生家から武人に嫁ぎ、若いながらも夫が留守の間の家を奥方として取り仕切っていた。エンドリいわく「ノエラくんの先輩」だそうだ。
――歳が近いから話しやすいだろうし、武家の妻になって日が浅いからノエラくんと境遇が似ていて感覚が近いと思う。宗家の末姫だったから当然この国のことも詳しいし、いろいろ話をしてみるといい。
ノエラにイルヴァを紹介したエンドリはそう言った。
ヴィリアムとしてはエンドリの妻を紹介されるのかと思ったが、弟嫁の方をエンドリが連れてきたので不思議ではあった。しかし、「俺の妻を参考にするのはもう数年後だな。生まれてきた子をいかにして武人に育てるのか知りたくなったら紹介するよ」と言われて納得した。エンドリの妻も若くしてエンドリと結婚し、今では次期ハリーン家当主の奥方として、なかなかの威厳を身に付けつつある。新妻のノエラにとっては、参考にしたくともなかなか難しいかもしれない。
「俺はまあ、親戚や顔見知りが多いからね。でもそんなに疲れてはいないよ」
ヴィリアムはそう答えると、ノエラの腰に両腕を回して小さくてやわらかな身体をぎゅっと抱きしめる。そしてこめかみにちゅっ、と音を立てて口付けた。
ノエラはイルヴァと会うたびに、この国の様々なことを教えてもらった。たとえば宗家、公家、武家、商家がどういうものか。ヴィリアムたち武人の勤め先である陸軍がどういうものなのか。ルティドロン以外のグントバハロンの同盟国にはどのような国があり、そしてそれぞれがどのような情勢にあるのかなどだ。
イルヴァは新しい友人ができたようで嬉しいと言いながら、ノエラとのお喋りを楽しんだ。ノエラとしても、どこか甘えん坊でつい世話を焼きたくなってしまうような愛嬌のあるイルヴァとのお喋りは、グントバハロンについて知ることができるうえにとても楽しくてありがたかった。イルヴァのおかげで、新しい環境には無理なく慣れていくことができたと思う。
そうしている間に新居ができ、ヴィリアムとノエラはヴィリアムの実家から引っ越した。そしてそれとほぼ同時に、ヴィリアムはハリーン家に正式に仕えるための仕官の儀式とノエラとの結婚式を同日に行った。
仕官の儀式は、それほど時間はかからない。現ハリーン家の当主であるエンドリの父アディル・ハリーンの御前にて、主君となるエンドリと酒を交わし、誓いの剣舞を奉納するのだ。ヴィリアムは大槍使いなので剣の扱いは不慣れではあったが、儀式のためにエンドリから剣舞を教わっておいたのでどうにか形だけは立派な剣舞になった。
ハリーン家本家での儀式が終わると、ヴィリアムは妹ティルスの職場でもある大衆食堂「ヤッタルデ」に向かった。そこにはヴィリアムの母ジェニファーとティルスによってドレスアップされたノエラが待っていた。純白のドレスは知人からの借り物だが、髪を結い上げてうなじを出したノエラはかわいいのに美しくて、ヴィリアムは初めて彼女と出逢ったあの日と同じくらいに興奮した。
食堂はこの日一日貸し切りで、ヴィリアムの家族のほか、マンダール家の親戚やご近所の住民、エンドリをはじめヴィリアムと同じ第一陸上戦隊の武人たちなど、総勢四十名強で椅子は埋まっていた。その招待客たちに見守られる中、ヴィリアムはノエラと夫婦になったことを全員に報告し、証明のキスをした。グントバハロン国の一般的な庶民の結婚式は、堅苦しい儀式などを伴わず、こうして食堂などに招いた客に結婚の報告をするのが普通なのだ。
そして二人の報告が終わると、あとは飲めや食えやの騒ぎになる。どういう馴れ初めなのか、どんな夫婦になりたいか、夫婦として末永くやっていくにはどうしたらいいのか、そんなことを訊いたり語ったりする。
ノエラはマンダール家の近しい者たちの顔と名前がどうにかわかる程度で、あとは誰がどこのどなたなのか、まだ憶えきれていない。そのため、客たちとの会話はほとんどヴィリアムがしてくれた。
日が暮れて夜になってもまだ宴会は続いたが、「あとはテキトーに解散させるから、二人はもう帰んなさい」とジェニファーが気遣ってくれたので、ヴィリアムとノエラは口笛ではやし立てられる中、食堂を後にした。そうして新居に到着し、順番に湯浴みをしてほっと一息ついているのが今の時間だった。
「ノエラが大丈夫そうならベッドに行きたいんだけど……いい?」
ヴィリアムはノエラの耳元でわざと妖艶にささやいた。ノエラは一瞬心臓が跳ねたが、それが何を意味するのかわからないわけではない。もちろん嫌なわけでもない。だが、とうとうその時が来てしまったのだと思うと、どうしても身体が強張った。
「あの……ヴィリアムさん」
「どうかした? 無理しなくても大丈夫だよ?」
少しだけ声が震えているノエラに、ヴィリアムはいたわるように言った。
ヴィリアムはいつもそうだった。初対面のあの日、森の中で助けてくれた時から、ヴィリアムはとにかく細やかに気遣ってくれる。抱きたい気持ちはあるだろうに、マンダール家の実家にいる時は「家族がいるから」という理由で、そしてこの新居に越してから今日までは「新しい家でまだ慣れないだろうから」という理由で、ノエラを抱くことはなかった。ノエラの心と身体の調子が万全になるのを、急かすことなくゆっくりと待ってくれたのだ。
だからその間、ノエラも覚悟を決めることができた。彼に話して実際に見られて、それで嫌われてかつての恋人と同じように捨てられても、今日までの優しかったヴィリアムの思い出があれば、きっと大丈夫だ。
「その……する前に、お話したいことがあって」
「話したいこと? いいよ、聞かせて。こっち向ける?」
ヴィリアムがそう言うと、ノエラは小さな身体の向きを変えた。ヴィリアムの太ももの上で女の子座りになり、ヴィリアムの片手を取って両手で握りしめる。そうすることで、どうにか勇気を振り絞ろうとしているようだった。
「私、あの……ヴィリアムさんと会う数年前に恋人がいたことがあって……結婚も考えるくらいの仲になって、でも……その……」
ノエラは何を言うのだろう。ヴィリアムはとても気になった。
彼女をグントバハロンに連れてきてから二ヶ月近くは経つが、それ以前の彼女との交流は初対面のあの日と、それ以降の文通しかない。つまり、ノエラと一緒に過ごした時間はまだまだ短い。互いに知らないこと、わからないことも多い。
そのひとつが互いの過去のこと、特に色恋沙汰だ。ノエラが処女でなくてもヴィリアムとしては気分を害することはないが、かつての恋人にまだ心があると言われたらそれはさすがに眉を顰めるだろう。
しかし、ヴィリアムの懸念をよそにノエラが告げたのは予想だにしないことだった。
「き、嫌われたんです……私の身体が、気持ち悪いって」
「気持ち悪い?」
「はい……私……お、お漏らししたみたいに……すごく、濡れる……から」
「へっ……?」
終始言いにくそうにもじもじしていたノエラはいたたまれなくなったのか、ヴィリアムの手を掴んでいる両手に力を込めた。ヴィリアムと視線を合わせることはできず、目もぎゅっと閉じてしまう。しかし肩を震わせながら、なおも白状するように続けた。
「一度だけ、そういう行為におよんだことがあって……でも私が、あの……び、びしゃびしゃになって……そんなに濡れるのはおかしい、気持ちが悪いって」
「ちなみに、行為は最後までしたの?」
ヴィリアムが尋ねると、ノエラは目を閉じたまま勢いよく首を横に振った。
「や、優しかったのに……『お前みたいなおかしい女、抱けるか』って言って……とても冷たくなって」
「結婚どころかノエラを振ったんだね?」
「はい」
こくりと頷くノエラの頭の中には、当時の感情がよみがえる。恐る恐る見せた身体、緊張しながらふれ合わせた肌と肌、しかし自分の身体は恋人の予想以上に反応して、シーツをぐしょぐしょに濡らした。それは彼にとってとても気持ちの悪いことだったらしく、それまでの日々が嘘のように彼の気持ちは冷めた。
ヴィリアムはどうだろうか。かつての恋人のように行為が始まってから気味悪がられるくらいなら先に告げてしまおうと思って申告したが、どう受け止められたのだろうか。
「ノエラ。ねえ、ノエラ」
身体を強張らせたまま反応できないでいるノエラを、ヴィリアムは優しい声で呼んだ。
「目を開けて俺を見て、ノエラ」
ヴィリアムがそれまでと変わらない態度でいるので、ノエラは恐る恐る目を開けた。そして、まっすぐにこちらを見つめているヴィリアムの瞳をのぞき込む。
「ベッドに行く前に三つ、しっかりと伝えておくよ。ひとつ目、とても言いにくいだろうに勇気を出して教えてくれてありがとう。正直、これまでのノエラの反応がちょっと気になってたんだ。でも、そんな過去があったら抱かれることに不安を抱くのも仕方ないと思う。へんに焦って抱いて君を傷つけなくてよかった。今日まで我慢した甲斐があったよ」
ヴィリアムはそう言って苦笑する。
ただただノエラのことを慮って今日まで自制してくれたヴィリアムは、本当に優しい人だ。どうしてこんな優しい人を、このグントバハロンの女性たちは恐れてきたのか。ノエラはヴィリアムの深い優しさを思って、胸が詰まるようだった。
「ふたつ目、その恋人が気持ち悪がるくらい濡れるっていう程度がどれくらいかまだわからないけど、そんなことぐらいで俺がノエラを嫌いになることはない。そんなことで別れてほしいなんて絶対に言わない。たとえノエラが本当にお漏らししたって、俺がノエラを嫌いになることなんてあり得ない。小さくてかわいいノエラが、しっかり者できれいなノエラが、いつも一生懸命に俺を見上げてくれるノエラが、俺は本当に大好きだよ。どんなノエラだって、俺はいつでも愛してる」
ヴィリアムはノエラの手をそっと振りほどくと、大きな両手のひらをノエラの頬に沿えた。
「三つ目、すごく濡れる体質ってことだけど、それ、むしろよかった。助かるよ」
「え?」
まったく思ってもみなかったことを言われて、ノエラは急にきょとんとした表情になった。
「まあ、詳しくはあとで。ということで、ベッドに行って君を抱くよ。いいね?」
「え、あ、きゃっ」
「はい、しっかり掴まって」
ヴィリアムはいとも簡単にノエラの身体を持ち上げて立ち上がった。ノエラの小柄な体躯はお姫様抱っこも、片腕に抱えるような抱っこもしやすい。慣れてきたノエラも、抱っこされればすぐにヴィリアムの太い首に腕を巻き付けて体重をヴィリアムに預けるので、ヴィリアムは軽い足取りで階段を上って寝室に向かうことができた。
「じゃ、その寝間着を脱いでね」
ノエラをベッドに下ろしたヴィリアムはそう言うと、ノエラに背を向けて一度寝室を出ていく。ノエラはベッドの上でおとなしく寝間着を脱いで、パンティ一枚になった。両手で乳房を隠して待つと、ヴィリアムは何枚かのタオルを持って戻ってきた。
「たくさん濡れるなら、ちゃんと下にタオルを敷こう。ベッドを洗うのはなかなかたいへんだからね」
苦笑するヴィリアムの笑顔は変わらずに優しい。だが、ノエラと同じように寝間着を脱いで下着一枚になったヴィリアムの身体は、まったく優しくなかった。
胸板は鉄板でも入っているのかと思うほどに分厚く、大胸筋も上腕二頭筋も、まるで岩のように硬くて四角い。戦闘で負った傷だろうか、ふさがった切り傷の痕がいくつか見られる。腰は女性のノエラと違ってくびれてなどおらず、身体の輪郭はどこかしこも直線的だ。衣服を脱いでもなおヴィリアムの巨躯が放つ存在感は大きくてすさまじく、のしかかられたらその重みで窒息してしまうに違いない。
「ノエラ?」
「えっ?」
「怖い? 俺の身体」
「あっ、いえっ」
まじまじとヴィリアムの身体を見つめて観察してしまっていたノエラは、ぶんぶんと首を横に振った。
「ぜ、全然違うから……不思議だな、って」
「そうだね。俺のこのゴツい身体と違って、ノエラは小さくてやわらかくてかわいいよね」
ヴィリアムはそう言いながらゆっくりとノエラを仰向けで押し倒した。そして、胸元を隠しているノエラの手を取ってしまう。
「いとしいノエラ……君の全身あちこちにキスしたい」
「んっ……」
ヴィリアムはノエラの唇を自分のそれでふさいだ。はむっ、はむっとやわらかく咀嚼するように、ノエラのぷるんと潤った唇を貪る。それからノエラの頬、顎のライン、耳たぶへと唇を移し、時折舌先で柔肌をぺろりと舐めながら、ノエラの首元に顔をうずめた。ノエラの肌からふんわりと匂い立つ甘さを嗅ぎながら、しっとりと息を吐き出す。ヴィリアムのその息遣いがくすぐったくて、ノエラは少し身をよじった。
「ヴィ、リアムさん……」
「呼び捨てでいいよ? それか、ヴィリーって愛称で呼んで?」
「ん……ヴィリアム」
「なに、ノエラ」
ヴィリアムの大きな手のひらが、ノエラの頬をなぞる。その手はつつつ、とノエラの肌の上をすべり、ノエラの真っ白な果実を下からすくい上げた。
「すごっ、やわらかっ……やばい、ノエラのおっぱいすごいな」
「や、だっ……言わないで」
ノエラは小柄だが、乳房はなかなかに大きかった。こうして仰向けで寝そべってもなお、丸い丘はその形をある程度保っている。ヴィリアムの手のひらが中心に向かって肉を集めれば、ヴィリアムの指と指の間にまろやかな肌があふれ出しそうになった。
「かわいいよ、ノエラ。まずはこのピンク色の乳首をいただこうかな」
「え、あっ……やぁんっ」
ヴィリアムはノエラの両方の乳肉をやわやわと揉みながら、わずかに硬くなって天を向いていた桜色の頂を口に含んだ。そして、口内の粘膜でそれを軽く吸い上げながら舌先でチロチロと舐った。
「ふっ……ぅっ」
ノエラは両手で自分の口を覆った。だが、ヴィリアムの優しい手付きといやらしい舌の動きが与える快感に、甘い吐息が漏れ出てしまう。ああ、いよいよこの人に抱かれるのだ――その期待と不安がない交ぜになって、ノエラの胸の中に嵐を巻き起こす。
「ノエラ、身体の力を抜いてリラックスして? たくさん気持ちよくしてあげるから、難しいことは考えないで。頭をぼーっとさせて、気持ちよくなっていいんだよ」
むにゅむにゅ、とノエラの乳房をじんわりと揉みながら、ヴィリアムはほほ笑んだ。ノエラは小さな声で「はい」と頷いたが、身体の力を抜くことも頭をぼーっとさせることも、意識して行おうと思うとどうにもうまくできなかった。
「かわいいな、ノエラ。愛してるよ。キスもたくさんしよう」
ヴィリアムは上半身を伸ばし、ノエラに口付けた。これでもかと舌を突き出して、ノエラの小さな口の中にある舌を追い回す。そして縦横無尽に角度を変えて舌と舌をからませ合う。その間、ヴィリアムの指先はノエラの果実をコリコリとはじいていた。
「んっ、ぁっ」
乳首の先っぽがジンジンしてくる。かゆいような痛いような、それでいて肌の奥をツンツンと刺激するような感覚。それは徐々に下半身へと広がって、ノエラは内ももをこすり合わせた。
「ほんと、ノエラはかわいすぎる。食べちゃいたいくらいだ」
ヴィリアムの瞳から、少しだけ優しさが消える。目付きが鋭くなり、まるで獲物を狙う狼、いや熊のようだ。
ヴィリアムはノエラのやわらかな乳房のステーキにかじりついた。そして、歯を立ててノエラの白い皮膚をぎゅっと吸い立てる。するとノエラは「痛っ」と短く悲鳴を上げた。ヴィリアムが顔を上げると、そこには真っ赤なうっ血の痕ができていた。
「ノエラは俺のもの。俺だけのもの。その証を、たくさんつけてあげる」
ヴィリアムはノエラがほんのわずかにでも抵抗しないように、彼女の両手首を掴んだ。そしてシーツの上にその手を押し付ける。その間、彼女の首筋をぺろりぺろりと舐め、乳房と腹にはいくつものキスマークを残した。くすぐったと痛さが交互に襲ってくるのでノエラは目尻に涙を浮かべたが、熊のように大きな身体のヴィリアムに為す術もなく味わわれること自体は、なんだかとてもえっちな気持ちで心地がいいと思った。
「はぁ……はぁ」
「ノエラ、まだまだこれからだよ?」
呼吸の浅くなったノエラに苦笑しつつ、ヴィリアムはノエラの下着にそっと手を伸ばした。恥丘に手のひらを添えてさすさすと前後に動かしてさすると、ノエラの太ももが震えてぎゅっと閉まる。
「だーめ。ノエラ、いい子だから足を開いて力を抜いて? これからノエラの一番えっちな場所をほぐして気持ちよくして、そこで俺のチンコを受け止めてもらうんだから」
「やっ、やだぁ……もう、ヴィリアムさん、そんなこと言わないで」
「あえて言いたいんだよ。その方がやらしくていいだろ?」
ヴィリアムはいつでも優しい。とても細やかに気遣ってくれる。けれど、こうして少し強引に攻め立てられると、普段の優しさとのギャップも相まって格好よく見えてしまう。やだ言わないで、と言いつつも、ヴィリアムの少しだけ悪くなった目付きにノエラの胸はときめいた。
「確かによく濡れてる。でもまだまだかな。もっと濡らしていいよ、ノエラ」
ヴィリアムは体勢を少しだけ下げると、ノエラの太ももを左右に割ってその間に座った。そして、真っ白ですべすべのノエラの足を持ち上げて、太ももや膝の裏、ふくらはぎに頬ずりをしたり、唇を這わせたりする。首元だけでなく不思議と足からも甘い香りがわずかにして、まるで発情した動物の雌のようだと思い、ヴィリアムは興奮した。
「ノエラの足もすべすべだね。いくらでもさわっていたくなる」
小さくて軽いノエラの身体は、ヴィリアムの手でいとも簡単に操れてしまう。
しばらくノエラの足を堪能したヴィリアムは、ノエラの膝を曲げてかぱり、と左右に倒した。そして、パンティ一枚で覆い隠されたノエラの秘部にうんと顔を近付ける。
「や、やだっ」
「恥ずかしいよね、ノエラ。でも駄目だよ。ノエラの全部は俺のものなんだから、俺に全部見せて?」
ヴィリアムは背中を丸めてかがむと、ノエラの下着のクロッチ部分に鼻を押し当てた。わずかに感じる冷たさの正体は、確認するまでもなく彼女のマン汁だろう。隠しきれない甘くてやらしい独特の匂いも、彼女の女の園が発しているものだ。
「ノエラのここ、えっちな匂いがしてすっげー興奮する。やばいな」
鼻で息をするヴィリアムの息遣いに、ノエラは恥ずかしくなる。しかし同時に、彼のその息遣いが肌の上をすべるようで、それが不思議な期待感を増幅させた。
「脱がすよ、ノエラ」
「えっ、あ」
無駄のない手付きで、ヴィリアムの手がノエラの両足から下着をするりと引き抜く。そしてヴィリアムは、何にも覆われることのなくなったノエラの可憐な花びらを大きく左右に開いた。そこに現れたピンク色の瑞々しい肉の屏風に、ヴィリアムは思わずごくり、唾を飲み込む。
「ほんとだ、すごく濡れてる。でもまだまだだよね。昔の恋人がヒくぐらいなんだから、もっと濡れるんだろう? いいよ、ノエラ。ここ、もっとびしょびしょにしよう。俺が手伝ってあげる」
「え、て、手伝うって……あっ」
意地悪げにほほ笑んだかと思うと、ヴィリアムのその顔面はノエラの股の間に深くうずまった。そして、ヴィリアムの舌はノエラの桃色の肉壁をべろりとなぞった。
「やんっ、あ、だめっ……ヴィリアムさん、そんなとこ、舐めちゃっ」
ノエラはヴィリアムの頭に手を置いて、彼の動きを止めようとした。だが自分でもはっきりとわかった。だめ、いや、しないで。そんな風に拒否する気持ちは、表面に浮かんでいる淡い膜にすぎない。身体の奥底に湧き上がってくる本心は別の気持ちだ。
「絶対にやめないよ。ノエラのえっちなところ、全部舐めて気持ちよくしてあげる。だからノエラ、素直になっていんだよ」
「ああっ……や、だめっ、はぅっ」
ヴィリアムの唇が、ノエラの小さな赤貝を食んだ。そして細く尖った舌先が、上下に何度もそれを舐める。
――チロチロ。
「やぁ……あ、ああっん」
――レロレロ、ぺろぺろ。
ヴィリアムの両腕はいつの間にかがしっとノエラの太ももに回され、決して逃げられないようにノエラを掴んで固定していた。ふるり、と震える太ももの間にヴィリアムの息遣いとしつこく動き回る舌を感じ、ノエラの頭の中がパチパチと光る。
「あっ、だめっ……それ、だめぇ」
ヴィリアムの舌と唇は決して止まらなかった。ノエラの花蕾をぺろぺろと舐め続け、かと思えば外側の肉の花びらを食んでむにゅりと味わう。しまいにはねじ込むように舌が女穴に侵入し、まるでなめくじのようなねっとりとした感触に蹂躙されて、ノエラの蜜壺は大きくひくついた。
「ねえ、ノエラ。どれが一番気持ちいい? それを一番たくさんしてあげる」
ヴィリアムは顔を上げると、人差し指をにゅるり、とノエラの隘路に差し込んだ。探検するかのようにその指を抜き差しして肉壁をなぞりながら、自分でもわかるほどににっこりとした笑顔と甘い声で尋ねる。
「クリトリスをぺろぺろされること? それとも花びらをむしゃむしゃ食われること? こうして指でナカをこすられること? 舌を無理やりねじ込んで妖しく舐られること? ねえ、どれが一番気持ちいい? それとも、溢れて止まらないこのたくさんのえっちな蜜を、じゅるじゅる吸ってあげようか」
「や、やだ……もう、ヴィリアムの意地悪っ」
わざとらしいまでにしつこく尋ねてくるヴィリアムに、ノエラは涙目で抗議した。しかし、ノエラのその上気した頬も目尻に浮かんだ涙も、どれも真に嫌がっているわけではなく、恥ずかしさと心地良さで理性がとかされる寸前だということは一目瞭然だ。
「そうだね、ノエラがかわいくて意地悪をしたくなる。だから全部してあげるよ」
ヴィリアムはギラギラと目を輝かせてほほ笑んだ。
「あっ、やぁんっ……だめ、だめっ、ほんとに、全部、しちゃっ」
ノエラの甘い悲鳴や嫌がる言葉は演出にすぎない。本心ではない。それをよく心得たヴィリアムは、本当に言葉通り、ノエラのはしたない場所をあますことなくかわいがった。ヴィリアムの唾液にまみれたノエラの蕾は、皮を脱いでギンギンに尖っている。ただ快感を得るためだけのその器官をしゃぶりにしゃぶりつくすと、ノエラは腰を浮かせて背中をしならせ、足を痙攣させながら果ててしまった。
しかし、それくらいでヴィリアムの愛撫が止まることはなかった。ノエラは本当に濡れやすい体質のようで、ヴィリアムの舌や指が女洞に忍び込むと、それは瞬く間にびっちょりと濡れ、しまいにはふやかされてしまった。ラブジュースをかき出せば確かに漏らしたかのような量が溢れ、粘り気を伴ったそれはどこまでも糸を引いていやらしく光る。だが、それは気持ち悪いと思って彼女を捨てるほどとは思えなかった。ノエラのかつての恋人に、ヴィリアムは小指の爪の大きさほども同意できない。
「ノエラ、すごくかわいいよ。もう一度イける? おまんこをいじられてクリトリスを指でこすられて、ピクピク感じてイっちゃうかわいいノエラをまた見せて?」
ヴィリアムがそう言うと、ノエラは薄目でヴィリアムを見つめて泣きそうな声で言った。
「もうっ……意地悪、しないで」
「これは意地悪じゃないよ。俺からのおねだり。手マンでイけないなら、もう一度舐めてあげる。ノエラのやらしいおまんこ、全部しっかり食べてあげるよ」
ノエラを見下ろしていたヴィリアムは、再びノエラの股の間に顔をうずめた。そして芳醇な雌の香りに包まれながら口を大きく開いてべったりと舌を這わせると、ノエラの女性器全体を下から上へと何度も舐め上げた。
「ああっ、だめっ……そんな、されたら……イ、く……イっちゃぅっ」
ノエラの両手がヴィリアムの頭部を押さえにかかる。しかしノエラは気付いているだろうか。その手はヴィリアムの動きを止めるためではなく、ヴィリアムの顔を自分の股間に押し付けて、より高みへ昇るべく導いているということに。
(ノエラのマン汁、美味い……やべっ、頭ん中、おかしくなりそう)
「はっ、ぁっ……ああ、だめ、もぅっ……ああっ、あっ……あんぅっ♡」
ノエラの息遣いが短くなる。細い足の指先にピンと力が入り、それはまっすぐに伸びる。そうしてノエラは再び絶頂をむかえたのだった。
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