メディスンシティへようこそ

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メディスンシティへようこそ

ここはメディスンシティ。 ギラギラとしたネオン輝く不夜城都市。 この国で薬を買える場所は、メディスンシティだけ。 多種多様な薬を求め、人と金と欲とが集まる街。 この街のルールはひとつ。 “金のない奴ぁお断り“。 そんなメディスンシティのある薬局で。 「ここはお前みたいなガキがくる場所じゃねえ。とっとと帰れ!」 ガードマンに門前払いされた少女がひとり。 パブリックリニアを乗り継いで、やっとの思いでたどり着いたのに、薬が買えないなんて。 途方に暮れる少女に、ひとりの青年が手を差しのべる。 「大丈夫ですか?リトルレディ」 金色の髪にブルーアイズ。 そして、白塗りの顔に丸い真っ赤なつけ鼻。 「ピエロ……さん?」 「わたくしはクラウン。この街の案内人です。リトルレディ、あなたのお名前は?」 「ジェニー」 クラウンの手をとり、ジェニーは立ち上がった。 「ジェニーさんは、どんなおくすりを買いに、この街に来たのですか?」 「かぜ薬」 スカートをぎゅっと握りしめ、ジェニーは言葉を継ぐ。 「あたしね、パパとママが死んじゃって、おばあちゃんと暮らしてるの。だけど、おとといからおばあちゃんの熱が下がらなくて……だから、お隣のブラウンさんにおばあちゃんのことお願いして、貯めてたおこづかい全部持って、パブリックリニアを乗り継いで、この街に来たの」
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