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ここはメディスンシティ。
明るく賑やかな地方都市。
この国で薬を買える場所は、メディスンシティだけ。
多種多様な薬を求め、人はこの街を訪れる。
この街のルールはひとつ。
“安心安全な薬を、適正価格で販売します“。
メディスンシティ行きパブリックリニアに乗って、ジェニーは再びこの街を訪れた。
カジノも裏通りの店もなくなり、誰もが安心して訪れることのできる、健全な街に生まれ変わったメディスンシティに。
駅前の大きな電光掲示板を指さして、ジェニーは言った。
「おばあちゃん、見て!あの人があたしを助けてくれた人よ」
「メディスンシティの、新しい市長さんがかい?」
金色の髪にブルーアイズ。
真っ赤なつけ鼻の代わりに、紺色のネクタイを締めた端正な男性が、画面の中で微笑んでいる。
優しげなその笑みは、あの日とちっとも変わらない。
「……うん!」
笑顔の新市長の隣には、こんな直筆のメッセージが添えられている。
“あなたに合ったおくすりが きっと見つかる
メディスンシティへようこそ!
メディスンシティ市長 ジェイコブ・クラウン・ジュニア”
【完】
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