第1話

5/9

2人が本棚に入れています
本棚に追加
/22ページ
「あっ!」  声を上げる。  美月先輩が駆け寄ってきた。 「どうしたの?百望ちゃん」 「ありました!」  美月先輩と名前を確認する。 「この教室は……」  教室を見て美月先輩な何かを言った。 「どうしたんですか?」  そう聞き返すと美月先輩は答えてくれた。 「この教室、担任の先生が毎年確定してる教室なの」  なにか駄目なことでもあるのだろうか。 「なにかいけないんですか?」 「いけないわけじゃないんだけどね……ただ、この教室の先生、結構厳しいことで有名なの」 「えっ!」 「まあ、教室もわかった事だし、寮に行って、荷物とか置こうか」  そう言われて、美月先輩について行く。 「百望ちゃん、荷物結構多い?」  どこまでを多いというのだろうか。 「そこまで、だと思います」 「わかった。一旦荷物を取りに行こうか」  そう言われて美月先輩について行くと職員室が見えてきた。 「失礼します。2年の葉山美月です。荷物を取りに来ました。」 「あ、ちょっと待ってね……えっと……はい。これが美月ちゃんでこっちが西田百望ちゃんだね」  そう言って荷物を渡された。  私の荷物はリュック1つと少し小さめの手さげ鞄1つ。  美月先輩の手元を見る。  美月先輩が持っているのは、少し大きめの手さげ鞄1つだ。 「美月先輩、荷物少ないんですね」 「ん?そうかな。寮で生活してると少しずつ荷物も減っていくんだよね」 「そういう物なんですか?」 「そういう物だよ」  そんな話をしていると美月先輩が立ち止まった。 「この部屋だよ」  見上げると「華」と書いてあった。 「美月先輩、華ってなんですか?」 「この部屋が華ってだけで、ラピエルの寮は何かしらの名前がついてるんだよ。番号の代わりかな」 「そうなんですね。ちょっと新鮮です」  美月先輩が部屋の鍵を開けてくれて部屋に入る。  両方の壁側にベッドがくっついている。  その横に机が2つ並べられている。 「百望ちゃん左と右どっちがいい?」 「美月先輩はどっちがいいですか?」 「百望ちゃん気使うの疲れない?」 「どうなんでしょう……」 「あ、百望ちゃん左側ね」 「分かりました!」  気を使うなんて当然の事だと思う。  お母さんは学園の学園長で家にも沢山の人達がよく来るから気を使っていたのかもしれない。
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加