城壁の皇帝

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「それから真田、メシの支度が済んだらひとつ頼まれてはくれんか。カジノへ使いに行って欲しいのだが――」 「カジノ――でございますか? ええ、もちろん良うございますが」 「この坊主の爺さんが勤めているらしい。ディーラーの黄だ。仕事が済んだらここへ寄るよう言ってくれ」 「黄氏でございますな。かしこまりました。お任せください」  真田はそう言うと、夕膳を整える為に一旦下がって行った。 「坊主、ここへ来て掛けろ。今、メシを用意する」 「はい……あの……」 「心配せずとも良い。今の真田を使いに出した。お前の爺さんの仕事が終わり次第、ここへ寄ってもらうようにな」 「じいちゃんに……? あ、ありがとうございます、お兄さん……」  ペコリと頭を下げる仕草が何とも可愛らしい。 「ふむ、お兄さん――ね」  ふぅと軽い溜め息ながらも口元をへの字にしてみせた焔に、 「あ、あの……ッ、僕その……何か失礼でしたか? えっと、何て呼べば……」  慌ててそんなふうに言い直す。まだ十歳そこらの子供にしてはきちんと敬語もわきまえているようだ。
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