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「お前さん、年は幾つになる」
「年……ですか? えっと、今十三歳です」
「十三だと? では中学生か?」
「……はい、そうです」
これは驚きだ。割合背の低い身長といい、どこそこ華奢な体つきといい、どう見てもまだ小学生くらいにしか見えないからだ。まあ本当に中学生だというなら礼儀が伴っていてもおかしくはないか――焔はますますこの少年に興味が湧いてしまうのを抑えられずにいた。
「あの……お兄さんっていうのがいけないようでしたら……その、皇帝様……でいいですか?」
「――皇帝だ?」
「えっと……さっきの人たちがそう呼んでたから……」
先程カジノから追い掛け回して来た男たちのことを言っているのだろう。焔は思わず笑みを誘われてしまった。
「ふ――頭の良いガキだ。だがお前さんがそんな呼び方をする必要はねえ。そうだな――白龍。白龍とでも呼んでもらおうか」
「白龍……?」
「俺の字だ」
「字……? お兄さん、白龍っていう字なんですか?」
「そうだ。これからはそう呼べ」
「はい……あの、白龍」
「それでいい。ところでメシを食いながらお前のことも少し教えてもらおうか。名は確か……冰といったな? フルネームは何という」
「雪吹で……す。雪吹冰」
「雪吹冰、日本人か?」
「はい、そ……です」
「この街へはどうやって来た。爺さんと住んでいるといったが、家はどの辺りなのだ」
焔は冰という少年からこれまでの経緯を聞くことにした。
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