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それによると、二人はこの城壁内で商い等をしている者たちが住む北側の居住区に暮らしているらしかった。元々は城外の繁華街住まいだったそうだが、両親が亡くなってから程なくして黄老人と共に引っ越してきたのだそうだ。
「じいちゃんのお仕事先が近いからっていうことでここへ来ました。学校は……ちょうど中学校に上がる時だったから転校っていうことにはならないからってじいちゃんが……。最初は元のお家から引っ越すのがちょっと寂しかったけど、少しずつお友達もできて、ここに来て良かったって思います」
「――そうか。では今はこの城内の中学校に通っているのだな?」
「はい、そうです」
まあ詳しいことは後で親代わりという老人に聞くことにして、とにかくは食事をとらせることにした。
その後、風呂にでも入れてやろうと思ったものの、デザートが済む頃にはすっかり睡魔が襲ってきたらしく、冰はソファにもたれながら眠ってしまった。まあとうに深夜を過ぎているし、子供にとってはそれも当然だろう。焔は彼を抱き上げて自身の寝室へ連れていき、そっと灯りを落としたのだった。
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