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すると――思った通りか。
「ふうん、そんじゃ今日はここまでにすっか。続きはまた明日見てやっから」
ルナはごく当然といったように、冰に向かって日本語でそう話したのだ。
冰の方はといえば、一瞬キョトンとしながらも言われている内容は分かるので、『ありがとう』と返したのだが――これもまた日本語でそう伝えたのだ。
その時点でようやくと違和感を覚えたのか、今度はルナの方がキョトンとしながら冰を見つめた。
「何? 日本語も教科にあるのか?」
今度は広東語に戻ってそう訊いたルナに、
「……えっと、だって今ルナお兄さん、日本語で『続きはまた明日』って言ったから。だから僕、日本語で答えた方がいいのかなって思って」
「あ? 俺、日本語なんてしゃべれね……えけど」
ルナはそこで初めて自分が日本語を理解していることに気が付いたようだ。
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