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当初、このルナに会ったばかりの頃は男娼だろうが何だろうがすべてのことに対する自我というものが見受けられなかった。まるで感情を持たない人形のようだった彼が、今は寂しげに諦めの表情を見せるまでになった。遼二はその変化に驚きつつも、決して彼を手放したくはないという強い思いに駆られていくのを自覚していた。
そっと――怯えさせないように少しの距離を取りながら彼の陶器のような頬に手を添える。
「勘違いするな。ただ一緒の床で眠るだけだ」
「眠るだけって……じゃあ、男娼になる為の実践じゃねえの?」
「実践?」
「ああ、うん……。だって遊廓の兄様たちの話じゃ、デビューする前に教育係の先生からお客の相手をする為の手解きがあるって聞いてたからさ」
男同士でのセックスのやり方を教わるんだろ? と言ってルナは微苦笑を浮かべる。
その笑顔がこと更に寂しそうに思えて、遼二は逸り出す胸を抑えながらルナを見つめた。
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