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「あ……たり前だ。俺は生まれてこのかた……紫月以外を想ったことはねえ。もちろん組も家族も大事には違いねえが、仮にどちらかを選ばねばならないとすれば――」
「一之宮を取るか? 組や家族を捨ててもヤツさえいれば生きていけると言えるか?」
「もちろんだ……ッ! 俺は……紫月が、この世であいつ以上に大事なものなんざ一つもねえ……! 紫月さえいれば俺は……」
「だったら迷うこたぁねえだろが。ヤツは――お前の愛する一之宮紫月はここにいる。例え今は記憶を失っていようと、あのルナは紛れもなくお前の愛する一之宮紫月だ。何を迷うことがある?」
「焔……」
「それともいっそのことあのルナを連れて親父さんの元へ帰ってみるか? 鐘崎組の中で、一之宮道場の側で、ルナと共に暮らしてみりゃお前のその悩みも解決できるかも知れねえ」
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