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「読書に夢中になって時間が経っのを忘れていました。話って、なんでしょうか?」
「君の御両親は亡くなられておられるんだったな?」
「はい、10年前に亡くなりました」
「君も知っているとは思うが、卒業後の進路についての親子面談は間もなく終了するが、君に関しては個人面談ということになる。この場を借りて個人面談を実施したいと思うが、いいかな?」
「はい、よろしくお願いします」
私はこんな形で個人面談が始まるとは想像もしてなかった。でも、これこそが、この高校の赤裸々な実態なのだ。
「初めに言っとくが、この高校では親子面談を希望する者はほとんどいない。卒業後は、親にぶら下がるか、なんとかなると安易に思っている有様なんだ。僕は君だけは特別だと思っている。それは君が他の生徒と違って成績優秀だからだけではない。御両親が亡くなられても、君は、一人で生活し、勉学に勤しんでいる。そういう点に、僕は君にスピリチュアルなものを感じてならないんだ。えーっと、立ち話はなんだし、君の隣の席に座らせてもらおうか」
のべつ幕なしに喋り続けて、いきなりスピリチュアルとは?そんな意味深な言葉。卒業後の進路とは関係ないはずだ。無理やり話をこじつけていると思った。
「君の卒業後の進路について話してくれないか。担任の教師として適切な助言が出来れば良いんだが」
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